🍵昨日、日本園芸協会から出版されている、『プランツガーデン』(No.189)を読んでいると「花と緑の勉強室」という読者から寄せられたQ&Aのコーナーがあるのですが、コロナ禍であることの現代を受けてでしょうか、その中の質問に植物とウィルスの関係について教えてくださいとの問いとその答えが興味を引いたので、そのままご紹介してみます。
その質問は「植物とウィルスの関係について教えてください」というもの。この問いかけの背景として「ウィルスは植物には影響しないのか?」という疑問を持たれているようです。植物にもウィルスと戦ってきた長い歴史があります。今回は植物とウィルスの最古と最近の話題について紹介します。
植物がウィルスに感染していた最も古い記録が17世紀のオランダで起こった「チューリップバブル」にまで遡ります。この時、チューリップの球根が投機の対象商品となって値上がりし、バブル現象となったのです。「1個の球根が、ビール工場や馬車付きの大邸宅と交換された」と言われています。
人々が大金をはたいて手に入れようとした球根は赤地の花びらに白いレースのようなモザイク状の模様が斑入りの花を咲かせるものでした。当時、このような花を咲かせる球根の作り方として「斑入りの花を咲かせる球根の一部を切り取って、1色の花を咲かせる球根に切れ目を入れ、その中に挟み込む方法が使われていたといわれています。でも、このような方法では斑入りの花を咲かせる球根を作ることはできないはずです。
この謎は、20世紀になって科学的に解かれました。これらの斑入りの花は、ウィルスによるモザイク病という感染症にかかったものであることがわかったのです。「球根に切れ目を入れ、その中に挟み込む」のはウィルスを感染させる方法だったのです。
これが、植物がウィルスに感染した最古の記録と思われてきたのですが、近年、万葉集にウィルスにかかった植物が詠まれていることがわかり、話題になりました。
1979年に日本のウィルス研究者が、万葉集の孝謙天皇の歌である「この里は 継ぎて霜や置く夏の野に我が見し草はもみちたりけり」がウィルスに感染した植物を詠んだものであることを指摘したのです。この和歌では、現在のヒヨドリバナがウィルスに感染して夏なのに黄葉になったことが詠われていると考えられ、現在では植物のウィルスに関する世界最古の記録とされています。
最近の話題では、新型コロナウィルスに対する植物の力について、奈良県立医科大学から発表されたものが2つあります。1つ目は2020年9月に、「柿渋」に新型コロナウィルスの感染力をなくす効果があると発表されたものです。
柿渋のもとはタンニンという物質であり、この効果であると考えられるというものです。
2つ目は、2020年11月に市販のお茶によって新型コロナウィルスが無害化される効果が見いだされたというものです。お茶にはインフルエンザウィルスの感染力をなくすカテキンという物質が含まれるので、この物質による効果と推測されています。
ただ、これらの結果は、ウィルスが人間に感染した状態で調べられたものではありません。試験管の中でウィルスを増殖させて調べられたものです。ですから今後は、人間に感染した状態のウィルスについて、これらの物質の効果が調べられることになります。
回答者:田中 修
甲南大学特別客員教授。農学博士。専門は植物生理学
昨年秋ごろからかな、ネットで柿渋の効果とか何か見たこと気があるのですが。いずれにせよ、少しでも何らかの効果があるとよいなと思いますが…
ひょっとして、お茶と柿の値が上がるう~(笑)
ウーム、柿とお茶をいただいて、免疫力でもあげるか!?
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