原作タイトルから「新竹取物語」を抜いた『1000年女王』に改題し、英タイトル兼小タイトルで『QUEEN MILLENNIA』という小さな文字も入りました。タイトルロゴの形状も漫画版やTV版とは異なり、両端から中央に向かって奥まった形となり、「1000年女王」の文字の中央の最後の「0」と「年」の部分が一番小さくなり、「女王」の「女」文字の中に「♡」マークが入るようになりました。
★本作劇場版『1000年女王』はTVドラマ版終了より一足早く、1982年3月13日に東映系で公開されました。TVCMでのキャッチコピーは、1000年女王は メーテルなのか?。タイトルが「1000年女王」となった理由について、TV版およびこの映画の脚本を担当した藤川によれば「TVアニメでは『竹取物語』同様に弥生が老夫婦に育てられているが、映画ではそうした描写がないため」との趣旨を述べています。なお、『銀河鉄道999』のヒロインであるメーテル役である池田昌子は、本作では実在の人物であるクレオパトラ役として出演している。その他、多くの主要声優も『銀河鉄道999』に別の重要キャラクター役(例えばTV版、映画版999のプロメシューム役で、TV版ナレーションも務めた来宮良子の場合は、本作では楊貴妃役)で出演しています。
★本作は、TV版の再編集ではなく、キャラクターデザインも一新されたオール新作となっています。原作者の松本零士氏は公開前のインタビューでこの映画について「ミステリアスでオカルトっぽい映画になります。」とコメントし、ポスターのキャッチコピーも「今、地球は巨大なミステリーに飲み込まれる!」というもので、ミステリー色をアピールしたものとなっている。ヒロイン・雪野弥生の容姿も「ミステリアスでオカルト的な雰囲気が半減する」という松本の意向を受け、原作のそれに準拠したものとなりました。
映画の連動企画としてニッポン放送「夜のドラマハウス」で『アマチュア声優コンテスト』が行われた。また、公開前の1月3日には「オールナイトニッポン新春スペシャル 1000年女王・超人ロック」、2月13日には「1000年女王愛のバレンタインデー」、3月3日には「1000年女王愛のフェスティバル」に声優陣などが参加して行われました。
同日に、松竹系で『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』が公開されました。この対決は、配給収入10億円の本作に対して、12億円の『ガンダムIII』に軍配が上がりました。公開当時には、東映配給の本作の前に『ガンダムIII』の予告編が、松竹配給の『ガンダムIII』の前に本作の予告編が上映されました。配給会社の違う作品の予告編を流すというのは当時としては大変珍しく、画期的なことでした。
後に、1983年8月にTV版を放送していたフジテレビ系列のローカル粋で初めてTV放映された。
松本は本作について「この『1000年女王』はメーテルの母親にまつわる物語、つまり、時系列的に『999』以前のもので、私の宇宙物にとって、絶対に欠かせない作品なんです。この『1000年女王』が無いと、一つの輪の重要な接点が無くなるんです。」と述べており、自身の作品世界を構築する上で重要な位置づけであることを明言していました。
ですが、劇中ではそうした『999』との関連性については明示されることはなく、映画版のテレビCMで「1000年女王は、メーテルなのか?」というコピーが使われ始めた頃には松本自身も「雪野弥生はメーテル」と言い出したこともあって連載中は本作が『999』の前史であることや、メーテルの母・プロメシュームの物語ということが大きくアピールされることはありませんでした。
しかしその後、『999』の前日談となるアニメ作品『メーテルレジェンド』(2000年)と『宇宙交響詩メーテル 銀河鉄道999外伝』(2004年)で本作のヒロイン・雪野弥生が『999』のプロメシュームであることが作中で明示されています。
本作の「姉妹が女王に反抗し、一方は賊に身を落とす」という設定は、1996年にビッグゴールドで連載を再開した『999』とその関連作品に引き継がれるという形になり、これに伴いプロメシュームの一人娘という設定のメーテルと彼女とはライバルという位置づけだった女海賊エメラルダスは姉妹となり、『メーテルレジェンド』と『宇宙交響詩』は「かつてセレンと共に姉妹で女王ラーレラに反抗した弥生が、やがて自らが女王プロメシュームとなり、そして娘のメーテルと海賊エメラルダスの姉妹に反抗される」という因縁話となっている。
【1000年女王・制作、公開データ】
監督:明比正行
脚本:藤川桂介
製作:横山賢二
製作総指揮:今田智憲
作画監督(キャラクターデザイン):山口泰弘
メカニック作画監督:金田伊功
メカニックデザイン協力:板橋克己
音楽:喜多郎
〔キャスティング〕
出演者
潘恵子(雪野弥生)
戸田恵子(雨森始)
永井一郎(雨森教授)
小山茉美(新女王)
麻上洋子(セレン)
池田昌子(クレオパトラ)
松島みのり(卑弥呼)
来宮良子(楊貴妃)
野沢那智(Dr.ファラ)
武藤礼子(ラーレラ)
ほか
主題歌:星空のエンジェルクイーン
歌:デラ・セダカ
製作協力:東映動画
製作:1000年女王製作委員会
配給: 東映洋画
公開:日本の旗 1982年3月13日
上映時間: 121分
製作国: 日本
言語: 日本語
配給収入 10億1000万円 1982年邦画配給収入10位
【1000年女王・ストーリー】
1999年、不気味な遊星、ラーメタルが、地球に静かに近づきつつありました。東京のあるマンションで、教師をしている雪野弥生が、筑波天文台の雨森教授から、ラーメタルから帰ってきた探索艇の報告を聞いたのです。彼女は天文学の知識を買われ、天文台の仕事を手伝っていました。実は弥生は、教師の姿に変えているが、かぐや姫の昔から、1000年の間、地球を見つめてきたラーメタルの使者である1000年女王だったのです。その時、緊急呼び出しが入り、新1000年女王から交代の宣告が伝えられます。地球にやり残したことがあると暗い表情の弥生の前に、窓の外から雨森始が顔を出します。始は弥生の受け持ちの生徒で、窓ふきのアルバイトをしている天文の好きな少年です。入れ違いで弥生の妹セレンが入ってきて、ラーメタルが地球を奪いとる計画だと話します。
その頃、始の両親が、経営する工場の爆発で亡くなってしまいます。始は叔父の雨森教授のところに身を寄せることになりました。その間にも、ラーメタルは、刻一刻と地球に接近しているのです。木星に近づいた時、ラーメタルの氷の外殻が溶けはじめ、ラーメタル人が現われた。暫くして、ラーメタルの隕石帯が、無数の火の玉となって地球に落下してきたのです。東京も壊滅的なパニックに陥ってしまいます。始は弥生を助けようとマンションに走るが、そこで、管理人に地下へ案内されます。そこは、1000年女王が数世紀前に造った東京直下の避難場所で、数万の難民の姿があった。始は、この地下大空洞はノアの方舟と同じように、人も動物も乗せたまま、地球から脱出できることを聞かされた。そして、地球は天地鳴動し、関東平野の外周部に突然、大断層が走り、大地がゆっくりせり上がり始めた。大空洞船、1000年女王率るノアの方舟が姿を現わしたのです。一方、ラーメタルも大船団を地球に送り、攻撃をかけてきます。「ラーメタルは何をしようとしているのか、女王である私に何も知らせないで」女王は暗たんたる気持におちいります。歴代1000年女王たちも蘇り、戦いは、壮絶なものとなり、次第に地球軍が有利に展開、遂にラーメタルを打ち破るが・・・
雪野弥生は、いや果てしない1000年という時の流れの中を、その命を愛のために使い果たし、始たちや愛する地球の人からも見守る中、歴代1000年女王の魂に付き添われ永遠の旅に旅立つ・・・
▲DLS Queen Millenia Movie ESP Title 01 01
👆1000年女王ラストシーン
▲🌺 Kitaro & Dara Sedaka - Star Sky Angel Queen [Queen Millennia OST]【Lyric video】
デラ・セダカさんはニールセダカさんの娘。
ニール・セダカ(1939年3月13日 生まれ )は、アメリカ合衆国の歌手、作曲家でもありシンガーソングライターであります。ニューヨーク州ブルックリン出身。娘は歌手のデラ・セダカ。1960年代前半に歌手兼作曲家として、1970年代にシンガー・ソングライターとしてそれぞれ黄金期を迎えた。日本やイギリスでも独自のヒット作を生むほどの人気がありました。
▲Space Queen~新竹取物語 1000年女王~(喜多郎)
🧐本作と主題歌を含め、使われた音楽が、これほど素晴らしくマッチングしている作品も大変珍しいと思います。


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