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劇場版『伝説巨神イデオン接触編・発動編』と現在の時代

日本のテレビアニメ昭和徒然史
03 /05 2022
◆◆1982年7月10日に、劇場版伝説巨神イデオン接触編・発動編』が、公開されました。今回はこの『伝説巨神イデオン接触編・発動編』を紹介します。
【制作の経緯】
1980年5月8日から1981年1月30日まで放送されたTVシリーズ『伝説巨神イデオン』は、視聴率不振、玩具売り上げ低下を理由に打ち切りとなりました。当時、制作スタッフ達は、本作品の結末を是非、何らかの形で発表したいと番組終了後に劇場版の制作が決定しました。

機動戦士ガンダムで成功を収めていた富野喜幸氏は、興行不振で最終作を制作できないない事態になる恐れを考慮し、一本にまとめられました。こうした経緯から、1982年7月10日にテレビシリーズの総集編『THE IDEON 接触篇』と、新作映画『THE IDEON 発動篇』(英語タイトルはTHE IDEON A CONTACT、THE IDEON Be INVOKED)が併映の形で同時公開され、両篇合わせておよそ3時間にも及ぶ長大な上映時間となりました。
当時、富野喜幸氏は「こんなに一生懸命つくってるイデオンをホントにスポンサーにしても局にしても、打ち切りにしたなと。それにどんなエンディングが待ってるかってことを少しは想像しろよと。こいつらをわからせるためには、皆殺ししかない!」と、アニメのおかげで犯罪者にならなくて済んだ、という富野氏ならではの過激な発言を当時トークショーで語っていました。『イデオン』のラストでは登場人物が死に絶える。『ザンボット3』どころではない驚愕の「全滅エンド」で「皆殺しの富野」と恐れられたことは今も語り草であるが、当初からこの構想を抱いていたといわれています。

「なぜ戦争が起きるのか? それで誰が得をするのか?」という設定を関係者曰く「一分の隙もない」状態で仕上げていてストーリーに盛り込んでいました。自身を構成するピースのひとつ「戦争」をつかって、完全に理論武装していたのです。

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【映画:THE IDEON 接触篇】
THE IDEON; A CONTACT
監督 富野喜幸(総監督)、滝沢敏文
制作 日本サンライズ
配給 松竹
封切日 1982年7月10日
上映時間 85分
【映画:THE IDEON 発動篇】
THE IDEON; Be INVOKED
監督 富野喜幸(総監督)、滝沢敏文
制作 日本サンライズ
配給 松竹
封切日 1982年7月10日
上映時間 99分
映画 イデオン

【制作スタッフ】
総監督:富野喜幸
監督:滝沢敏文
原作:矢立肇 富野喜幸
脚本:山浦弘靖 、富田祐弘、 渡辺由自、 松崎健一
キャラクターデザイン:湖川友謙
アニメーションディレクター:湖川友謙
メカニカルデザイン:樋口雄一
音楽:すぎやまこういち

伝説巨神イデオン 劇場版4

新作原画は、作画監修の湖川友謙がほとんど1人でこなしているが、一部の新作の戦闘シーンの原画は板野一郎が担当しています。また本作品の制作スタッフは、劇場版『ガンダム』の制作現場と同じスタジオで作業しました。
プロモーション上(劇場版ポスター等)はテレビシリーズと同じく『伝説巨神イデオン』のロゴが使用されており、公開後もそのタイトルで紹介される場合が少なくないが、実際には劇場版のタイトルは『THE IDEON』である。徳間書店ロマンアルバムでのインタビュー記事にて富野監督本人が、『伝説巨神イデオン』でなく『THE IDEON』に改題した明確な理由を説明しているので、これは単なる表記上の違いではありません。
以下当該インタビューより「(前略)『伝説巨神イデオン』だと、イメージ的に”イデ”が見えなくなるんです。伝説の巨神という形に目がいっちゃうわけです。(中略)本当の意味でイデオンというのは、コスモであり、カーシャであり、カララであり、すべて、人なんだって思える。(中略)ロボットの形をしたイデオンっていうのは、それを知るためのきっかけを作っているにすぎないんですよね。」
「第2章 設定・SF考証 脚本 松崎健一 《漫画の神様、アニメの貧乏神》」『ガンダム者 ガンダムを創った男たち』Web現代「ガンダム者」取材班 編、講談社、2002年10月9日、119頁。ISBN 4-06-330181-8。より

伝説巨神イデオン 劇場版SHIP

内容としては『接触篇』が、テレビシリーズ前半の総集編で、『発動篇』が最終回の完全版となっています。『発動篇』の製作を優先したため、『接触篇』は作画クオリティを重視し構成されています。富野は「起承転結の“承”の部分がないので、劇作としては0点」と評しています(しかし、後に「こんなすごい映画とは思わなかった!」とも)。
「皆殺しの富野」と呼ばれる監督の作品らしく、キッチン、ギジェほか、キャラクターは凄惨な死を迎え、老若男女問わず徹底した人体破壊描写が行われた。ラストについて富野は「『禁じ手』を使ってしまったのかもしれない」と語っているくらいです。

西暦2300年。地球人類が、外宇宙へ移民を開始して50年経過した遠い未来の話です。地球人は2年前から移民を行っていたアンドロメダ星雲の植民星A-7・ソロ星で、異星人文明の遺跡を発掘します。地球人類が外宇宙に進出して出会った6度目の異星人であることから、「第6文明人」と呼称していました。

一方その時、伝説の無限エネルギー「イデ」の探索のために、「ロゴ・ダウ」(=ソロ星)を訪れた異星人バッフ・クランと、地球人の移民が接触。さらに、無思慮な行動で本隊より離れたバッフ・クランのカララ・アジバを捜索に出た下級兵士の発砲と、両者の疑心暗鬼により武力衝突へと発展します。第6文明人の遺跡は、合体し、巨大人型メカ「イデオン」となったのです。
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▲問題の白旗。お互い相手を知らないために、この行為がさらなる戦闘へと発展してしまう。

主人公ユウキ・コスモらは戦いを終結するべく「戦意はない」ことを示すための良いアイディアと思って、白旗を上げるのですが、バッフ・クラン社会でのそれは「お前らを地上から抹殺する」という逆の意味だったため、事態がさらに悪化することになってしまうのです

伝説巨神イデオン 劇場版2
地球人たちはイデオンで応戦しながらも、同じく発掘された宇宙船ソロ・シップに乗り込み宇宙へ逃れていきます。だが、その遺跡にこそバッフ・クランの探し求める無限力「イデ」が秘められており、カララを乗せたソロ・シップの脱出により、事態は局地的な紛争から星間戦争へ、そして最終的には人類対バッフ・クランの全面戦争へとまで突入してしまいます。
安住の地を求めソロ・シップは、地球人側の移民星にまで逃げ込むが、無限エネルギー「イデ」を求めるバッフ・クラン側は執拗な追跡の手を休めることなく追い続けます。

伝説巨神イデオン 劇場版3
バッフ・クランと戦闘しながら逃げ続ける船内では、ベスとカララの間にも愛が生まれ、カララはベスの子を妊娠します。愛ばかりでなく、猜疑心、憎しみなども渦巻き、さまざまな人間模様が繰り広げられ、ソロ・シップは艦内に不和を抱えたまま宇宙を逃走し続けます・・・カララとハルルの間にも確執と憎しみは、カララの死も招いてしまいます。

伝説巨神イデオン 劇場版5
次第に「イデ」の目覚めにより宇宙規模の異変が起きていきます。イデは、人類とバッフクラン双方の母星に隕石が落ち壊滅します。
知的生命体唯一の生き残りとなったソロシップ乗組員とバッフクラン軍は、なおも戦闘を続け、やがて両軍が全滅してしまます。最後に「イデ」が発動し、人類とバッフ・クランの双方が滅亡してしまいます・・・

深い闇と星の光の中に、今、新しい光が無数に生まれた。光はギジェでありシェリルであり、ドバやハルルたちの形をしていた。彼らはメシアとともに旅立とうとしていた。光の群は小さな惑星に降って消えていきます。

全宇宙の知的生命体が、根絶やしになったその瞬間、イデの真の発動が始まった。イデオンから発っせられる光の中、コスモやその他登場人物達の魂が新たな生命の種となり、宇宙の星々へと散らばっていく。

新たなよき生命の誕生となるのだろうか・・・

伝説巨神イデオン 劇場版Last



▲(BD)伝説巨神イデオン劇場版 予告編

【主な登場人物とキャスト】
ユウキ・コスモ
声・塩屋翼
本作品の主人公であり、イデオンAメカのメインパイロット及びイデオンのパイロットを務める。
ジョーダン・ベス
声・田中秀幸
地球連合軍ソロ星駐留空軍の士官候補生。
イムホフ・カーシャ
声・白石冬美
イデオンCメカのメイン・パイロット。
フォルモッサ・シェリル
声 - 井上瑤
第6文明人の遺跡を調査していたフォルモッサ・ロダン博士の娘。
キッチ・キッチン
声 - 鵜飼るみ子
キャラル星軍の高級将校の娘。壊滅したキャラル星の都市で子供たち数人と生き残っていたところをコスモに発見される。
カララ・アジバ
声 - 戸田恵子
バッフ・クラン宇宙軍総司令ドバ・アジバの次女。
ギジェ・ザラル
声 - 林一夫
ロゴ・ダウ調査隊の先発隊隊長。サビアの武人。
ドバ・アジバ
声 - 石森達幸
バッフ・クラン宇宙軍総司令。カララとハルルの父。

▲コスモスに君と AMV 伝説巨神イデオン ED 作曲:すぎやまこういち 歌: 戸田恵子 作詞: 井荻麟 作監:湖川友謙/Space Runaway IDEON "Cosmos ni Kimi to"
★劇場版では、この曲は使われませんでたが、願いと祈りの込められた美しい曲です。ラストシーンによく合っていると思います。
【本作への評価】
公開時には商業的な成功こそ収められなかったものの、テーマ性、作風、演出方法がアニメ業界へ与えた影響は非常に大きく、アニメ業界関係者を中心に作品のファンは多い(a b c 数土直志 (2020年12月26日). “40周年「イデオン」はなぜ忘れられたのか 「ガンダム」富野由悠季もうひとつの傑作 (1ページ目)”. デイリー新潮 2021年1月2日閲覧。)

アニメ業界出身の杉山卓は放映中に執筆した『青春アニメ・グラフィティ―テレビ編』(集英社コバルト文庫、刊行は放映終了直後の1981年)の中で、ロボットアニメの枠を超えた高度な内容を盛り込むことを目指すとスタッフが公言していた本作の制作姿勢を高く評価し、ぜひそれを押し通して成功してほしいとエールを送っていました。また、映画解説書においては「日本のアニメ作品中でも空前のスケールを誇る問題作。全宇宙的規模の戦いのなかに、宗教的世界観をもって人間の"生"を問おうとした離れ技は、実写、SFX作品を射程に入れても、他に類を見ない試みであった
「番組終了後1年を経ての映画化は、ファンの熱烈な支持のたまものです。それに応えるかのように、人間の業の深さと、その生きざまの激しさを、超越的存在"イデ"を通し、宗教的な雰囲気で包みこんで描いた演出は、脂の乗りきった湖川友謙の描くキャラクターと見事に融合し、数ある富野作品のなかでも頂点に位置するものといえる」
といった評価が記されたものがあります。(「第二部 大企業家の時代」『劇場アニメ70年史』アニメージュ編集部、徳間書店、1989年1月1日、93頁。雑誌65297-15。OCLC 1020999117。)【本作への評価】ウィキペディアより引用

個人的に本作は、メッセージ性が激しい作品で、感受性に鋭く訴えかけられるものを感じます。究極のところ、人間の欲が、まともにぶつかりあえば、最悪の場合は、人間は全滅をたどってもおかしくありませんよ!ということを描き切っていると思います。いいかえれば、人間は一人一人が、考え方を変えるともっともっと違った可能性や希望のある生き方があるのでは?といいうことを問いかけられているような気がしてなりません。

過去も今も、今この時も戦争が繰り返されている時代。アニメ映画とはいえ、なぜか『伝説巨神イデオン接触編・発動編』の作品とオーバーラップして紹介させていただきました。

★ウクライナにもアニメーション制作にたずさわっている方たちがいます。連絡をとろうにも、サーバーエラーがでてきます。アニメーターの方たちが、家族のかた、友人や隣人のかた、どうぞ、どうぞご無事でいただきたい。


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のぶさん

55歳から短い脚で、二輪にまたがり、還暦峠も越えて、人生下り坂のアニメ好きジジイでございます。人生、特に極めることもなく、カラータイマーが点滅中(o|o)