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◆◆日本のテレビアニメ昭和徒然史も、時系列進行で1986年のアニメ作品を紹介中ですが、1986年8月2日にスタジオジブリの『天空の城ラピュタ』が公開されました。今までも多くのファンの方々がご覧になってこられたと思いますが、あらためてその紹介と魅力を考察してみたいと思います。
『天空の城ラピュタ』は、スタジオジブリ制作の長編アニメーション映画作品で、スタジオジブリ初制作作品となります。監督は宮崎駿氏です。宮崎駿氏が小学校時代に考えていた架空の作品がイメージにあり、原作となる作品が存在しない初のアニメオリジナルの監督作品でもあります。 (切通理作『宮崎駿の<世界>』筑摩書房・ちくま新書、2001年、27頁)製作は徳間書店。高畑勲氏の映画『柳川堀割物語』の製作諸事に関する相談を徳間書店の鈴木敏夫に相談したことから企画が立ち上げられ、この映画をきっかけに設立されたスタジオジブリ制作映画の記念すべき1作品目となりました。
1980年頃からアニメーション作品も内容が、対象年齢を高年齢に向けている傾向が多くなってきているアニメに対して、マンガ映画の復活を目標に小学生を対象に古典的な冒険活劇として企画され、それが結果的に大人の鑑賞にも耐えうる作品になればというのが宮崎氏の方針でした(宮崎駿『『天空の城ラピュタ』企画原案」『出発点 1979〜1996』』徳間書店、1996年、394-395頁。ISBN 978-4-19-860541-4)。
音楽は冒険活劇ということから宇崎竜童氏に決定していたが、プロデューサーの高畑勲氏の再考により( 鈴木敏夫「宮崎・久石コンビはこうして生まれた」(「久石譲in武道館」チラシより) セブンネットショッピング内スタジオジブリ専門店)、『風の谷のナウシカ』の久石譲氏が続投し、ベースにアイルランドやスコットランドの民謡調で、フルオーケストラによる音楽を手掛けました。
本作は興行的には数字的には振るわなかったものの(制作、公開データ参照)、配給した東映による観客満足度調査によると97.7%と非常に高い調査結果がでていて、物語は幅広い年齢層に支持されています。またビデオソフト化による販売は大変好調となりました。
私も、本作のDVDを持っています。ジブリの作品は全体的に、作風が繊細かつ丁寧な仕上がりの作品が多く、時折、無性に懐かしいアニメ作品として視聴したくなる時があります。個人的な視点かもしれませんが、本作もジブリの作品は、初回に見た時よりも、2度目、3度目と味わい深い感があります。もちろん、子供がみても楽しいのですが、大人になって観ても子供の頃の夢とか冒険心、いついつまでも大切にしたいとそんな素直な心が沸き起こってくる心に残る価値ある作品と思います。
2020年に行われた「一番好きな宮崎駿監督作品」の人気ランキングにおいて、3位の『ルパン三世 カリオストロの城』、2位の『風の谷のナウシカ』を押さえて、圧倒的得票数により1位となっています。
★本作『天空の城ラピュタ』のキャッチコピーは、「ある日、少女が空から降ってきた…」
▲スタジオジブリHPより引用
【天空の城ラピュタ・一口概要】
「ラピュタ」という名称は、スウィフトの『ガリヴァー旅行記』に登場する、空を飛ぶ島にある王国「ラピュタ王国(en:Laputa)」からとったものです。劇中に空飛ぶ島の物語を空想した人物としてスウィフトの名前も出てくるが、名前の借用以外は『ガリヴァー旅行記』との関連はなく、19世紀後半、産業革命期のヨーロッパを元にした架空世界での冒険を描いています。
なお、スタジオジブリ作品は、本編開始前に同社のマスコットキャラクターであるトトロの横顔が描かれたブルースクリーンが登場するのですが、本作はトトロが登場する作品『となりのトトロ』以前に公開された作品であるため、オリジナル映像にはトトロの横顔が描かれたブルースクリーンは存在しません。ただし、販売用に編集されたVHSビデオ・DVD・BD版およびテレビ放送時にはトトロのブルースクリーンが登場します。これはジブリ作品ではない『風の谷のナウシカ』も同様です。
▲スタジオジブリHPより引用
【天空の城ラピュタ・あらすじ】
本作のヒロイン、少女シータは、政府の特務機関にとらえられて、飛行船に乗せられていました。彼らの狙いはシータが亡き母から受け継いだ、謎の青い石のペンダントです。その石を同じく狙う空中海賊ドーラ一家の襲撃で、逃げようとしたシータは誤って飛行船から転落してしまいます。シータは石が放つ不思議な光に包まれ、気を失いながらゆっくりと落ちて行き、鉱山で働く主人公の少年パズーに助けられます。
パズーはシータが追われていることを知り、彼女を守りながら、一緒に逃げます。ドーラ一家に追われた二人は谷の廃坑に落ちてしまいますが、再び石の力で救われます。老人ポムによると、それは昔、ラピュタで作られた飛行石だというのです。ラピュタは空に浮かぶという伝説の城だが、今は亡きパズーの父は生涯に一度、そのラピュタをその目で目撃していたのです。パズーにすれば、詐欺師扱いされた父の汚名を晴らすべくラピュタへいきたいのである。地上に戻った後、実在を確信してラピュタ探索への意欲を燃やすパズーに、シータは古くから伝えられてきたという秘密の名前を打ち明け、その名前の中に「ラピュタ」という単語が含まれていることにパズーは驚くのでした。
その直後、二人は特務機関に捕まり、軍の要塞へと連行されてしまいます。そこでシータは特務機関を指揮するムスカ大佐から、以前ラピュタから落ちてきた壊れたロボット兵を見せられます。ラピュタは遠い昔に滅びたが、かつて高度な科学力で天空から世界を支配した強大な帝国で、今も空のどこかに浮いているというのです。飛行石はラピュタの王族が、いつかラピュタに帰る日のために代々受け継いできた物でした。
ムスカ大佐は、シータの受け継いだ秘密の名がラピュタ王家の血族であることを示すものであり、彼女こそがラピュタ王の末裔にして正当なる王位継承者だというのです。ムスカは紳士的な態度を装い「ラピュタが存在することが平和の脅威になりうる」というまっとうな理由をならべますが、パズーの命を盾として突きつけて脅迫的に協力を迫り、シータはパズーの身を案じてやむなくそれを受け入れるのでした。
牢屋から解放されたパズーと再会したシータは、ラピュタの探索をあきらめるようにパズーに告げ、失意と共に要塞を去っていくパズーを涙とともに見送るのでした。その夜、愁然としていたシータは昔、亡き祖母に教わった"困った時のおまじない"を何げなく唱える。彼女は知らなかったが、実はラピュタの封印を解く言葉だったのです。その言葉によりロボット兵が突如目覚めて暴れ出し、飛行石は空に光を放ってラピュタの位置を指し示すのでした。
一方、解放されたパズーは自宅に戻るも不在の間に入り込んでいたドーラ一家に捕まってしまいます。シータに裏切られたと思い込みふさぎ込んでいたパズーは、ドーラの叱咤を受けて自分を突き放すような態度を取ったシータの真意に気づき、飛行石を奪うために要塞へ向かうドーラたちに自分も連れて行くように頼み込みます。ドーラも、その方がシータが言うことを聞くかもしれないと考えて同行を許し、ロボット兵の暴走によって混乱する要塞から協力してシータを救い出します。しかし、飛行石はムスカ大佐の手に渡り、彼はロボット兵を破壊した軍と共に先んじてラピュタに出発します。パズーとシータもドーラの飛行船に乗せてもらい、後を追う形でラピュタへと向かうのでした。
だが、ドーラの飛行船は軍に発見され、執拗な攻撃を受けます。巨大な低気圧の中心「竜の巣」が迫る中、ドーラの命令で見張り台を切り離して偵察用のグライダーとして使用していたパズーとシータだったが、軍の攻撃により繋いでいたワイヤーが断ち切られ、飛行船とはぐれて「竜の巣」に飲み込まれてしまいます。雷の嵐の中をさまようパズーは、目前に現れた青白い父の飛行船の幻影を目撃し、それに導かれるようにラピュタに辿り着くことができたのです。目覚めた二人は園丁のロボット兵に城内を案内されます。そこで見たものは、想像とは違う穏やかな庭園や水底に沈んだ町の風景を見て、恐怖の帝国と呼ばれたラピュタの平和的な一面を垣間見るのでした。
その後、遠くから爆発音を聞いて外に出た二人は、城の下層で軍に捕まり縛り上げられたドーラ一家の姿を発見します。パズーは外壁をよじ登ってドーラを救うが、パズーを見つけたムスカの部下の銃撃から守ろうとしたシータが、ムスカに捕まってしまう。ムスカはシータを捕らえたままラピュタの中枢部に入っていきます。
ムスカの本当の狙いとは、ラピュタの力を手に入れて世界を支配することだったのです。ムスカはシータに自分もラピュタ王の末裔だと明かし、飛行石で城の力を操って軍の兵隊を皆殺しにします。
ムスカの卑怯な仕打ちに怒ったシータは、ムスカから飛行石を奪って逃げるが、伸ばしてきた三つ編みのおさげ髪をムスカに撃ち落とされる。その後助けに来たパズーと共に、昔教わった滅びの言葉「バルス」を唱えます。飛行石は、強力な光を発して城が崩壊し、ムスカは瓦礫と共に海へ落ちていくのでした。
パズーとシータはグライダーで城から離れ、フラップターで脱出していたドーラ一家と空で再会し、みなで喜び合います。ラピュタを浮遊させていた巨大な飛行石の結晶は、ラピュタ全体を覆っていた大樹の根に囲まれて、城の上層部とともに更に高空へと飛び去っていったのでした。そして二人はドーラ一家と別れ、帰っていくのでした・・・
▲スタジオジブリHPより引用
【天空の城ラピュタ・制作、公開データ】
製作:徳間康快
協力製作:木暮剛平
企画:山下辰巳
音楽:久石譲
作画監督:丹内司
原画頭:金田伊功
原画:篠原征子、遠藤正明、二木真希子、小林一幸、賀川愛、前田真宏、大塚伸治、河口俊夫、近藤勝也、友永和秀、桜井美知代、森友典子、大谷敦子、福田忠、川崎博嗣、高坂希太郎、名倉靖博、鍋島修、江村豊秋
動画チェック:尾沢直志、立木康子
動画:小林研二、平田英一郎、須貝美佳、高峰由恵、服部圭一郎、吉野高夫、村田俊治、茂林良哉、東誠子、竹葉直子、上田和佳子、宮本英子、本持貴、中野恭子、諸橋伸司、長井和久、山川浩臣、新屋真智子、坂野方子、コマサ
金子昌司、片山雄一
動画工房(神原よしみ、成田達司、鈴木安子、石黒益美、松下弥生、牧野田啓介、水谷貴代、河内由美、福士多鶴子、井田聡)、スタジオ・トト(逸見俊隆、角田幸子、南静子、岡本稔、森田徹)、オープロダクション(永井恵子、加藤由子、粟田勉)、草間アート(佐藤佳子、山口明子、重田智)、進藤プロダクション(日暮恭子、関明美、田中立子、山室直儀、江原仁)、スタジオ・ファンタジア(手島晶子、高橋禎男、大谷久美子、岩柳恵美子、泉都)、ビジュアル'80(成海厚子、渡辺純夫、浜野邦子)、スタジオギャロップ(荒野真理子、岡部和美、斉藤利子)
、スタジオ九魔(手島勇人、星勲)
美術監督:野崎俊郎、山本二三
背景:小関睦夫、木下和宏、吉崎正樹、久村佳津、飯島久美子、太田清美、石川山子
ハーモニィ処理:高屋法子
特殊効果:阿部郷、寺岡伸治
色指定:保田道世
仕上検査:荻原穂美
仕上:水間千春、小川典子、長嶺浩美、石井恵美子、鍋谷雅子、酒井由紀子、島田久美、阪本文也、見田竜介、仲田ひろみ、柳沢和枝、木原恵子、宮下真理、高砂芳子、スタジオキリー(岩切紀親、西牧道子、内藤幸江、佐藤妙子、高見ふさ子、夏井正子、久世晋一郎、中田信子、青島歌苗、高橋直美、西山美代子、町井春美)、スタジオファンタジア(飯塚智久、永井留美子、檀上知子、菊地祐子、棚沢真里子、浅野敏子)、プロダクションアクト(横山浩子、本田由美子、田口美恵子、村野綾子、下田悦子、小松良江、倉岡裕之、風間洋子)、スタジオOZ(磯崎昭彦、貴島弘子、増田奈緒美、篠田十鬼、細谷明美、平賀恵子)、グループジョイ(大橋朝子、鈴木久美子、須藤彰子、袖山みか子、村上芳枝、佐藤新之介)、スタジオ雲雀(成田賢二、秋山季映、荒川典子、加藤文江、鈴木洋子)、スタジオ古留美(完甘幸隆、山形勝俊)
撮影監督:白神孝始、高橋宏固
撮影:高橋プロダクション
小林武男、笠間いずみ、豊永安義、松嵜泰三、福島敏行、安原吉晃、石塚敬久、野口肇、宮島幸男
音響制作:オムニバスプロモーション
音響監督:斯波重治
音響補佐:浅梨なおこ
整音:井上秀司
音響効果制作:E&Mプランニングセンター
音響効果:佐藤一俊
音響効果助手:小野弘典
音楽制作:ワンダーシティ
音楽プロデューサー:三浦光紀、島袋晃
音楽ディレクター:庄司良一、渡辺隆史
エンジニア マスタリングレコーディング:大川正義
エンジニアアシスタン: 梶篤、浜田純伸
サウンドオペレーション:福岡やすこ
合唱:杉並児童合唱団
CD制作:徳間ジャパン
録音スタジオ:音楽収録 ワンダーステーション、日活スタジオセンター
台紙収録:東京テレビセンター
タイトル:高具秀雄
リスマーク:高具アトリエ
編集:瀬山武司
編集助手:笠原義宏
演出助手:飯田つとむ、木村哲、須藤典彦
制作デスク:押切直之
制作進行:古里尚丈、木原浩和、原俊嗣、熱海正志、武藤薫
宣伝プロデューサー:徳山雅也
「天空の城ラピュタ」製作委員会:小金井道宏、鈴木敏夫、金子彰、亀山修、滝川和俊、田所稔、粕谷昌宏、大塚勤、佐々木崇夫 武田実紀男、校条満、小林智子
現像:IMAGICA
DOLBY STEREO技術協力:極東コンチネンタル株式会社 森幹生
製作協力:電通
企画協力:アニメージュ編集部
アニメーション制作:スタジオジブリ
プロデューサー:高畑勲
チーフプロデューサー:尾形英夫
エグゼクティブプロデューサー:加藤博之、原徹
原作、脚本、監督:宮崎駿
徳間書店「アニメージュ」連載
配給:東映
上映時間:124分
興行収入:約11.6億円
配給収入:5億8300万円
▲スタジオジブリHPより引用
【天空の城ラピュタ・キャスト】
パズー:田中真弓
シータ:横沢啓子
ドーラ:初井言榮
ムスカ:寺田農
ポムじい:常田富士男
将軍:永井一郎
親方:糸博
おかみ:鷲尾真知子
シャルル:神山卓三
ルイ:安原義人
アンリ:亀山助清
老技師:槐柳二
マッジ:TARAKO
★『天空の城ラピュタ』は現在、動画配信先はありません。TSUTAYA宅配レンタルで視聴は可能かと思います。
▲スタジオジブリHPより引用
【天空の城ラピュタ・舞台設定】
🏰物語の舞台は企画段階では「立憲君主国。ただし国王は登場しない」とされており、後に宮崎氏は舞台をイギリスのつもりで設定したと語っています。宮崎氏は、製作が始まる前の1985年5月にイギリスのウェールズをロケハン(映画やテレビの制作において、主に屋外のロケ地(=スタジオ外の撮影場所)を探すこと)で訪れており、そこで見た風景が本作に活かされています。後に押井守氏や鈴木敏夫氏らと同地を再訪しています。また登場する小火器(拳銃、小銃、重機関銃)もイギリスの兵器をモチーフにしています。
▲イギリスウェールズ地方(wondertripより引用)
▲スタジオジブリHPより引用
【天空の城ラピュタ・賞歴】
・文化庁優秀映画
・第41回(1986年)毎日映画コンクール 大藤信郎賞
・1986年(第15回)ぴあテン 映画部門第1位
・シティロード 読者選出ベストテン 邦画第1位
・おおさか映画祭 日本映画ベストテン第1位
・日本映画復興特別賞(高畑勲・宮崎駿)
・映画芸術 日本映画第1位
・キネマ旬報 86年度ベスト・テン 日本映画第8位/読者選出日本映画第2位[39]
・第9回(1986年)月刊アニメージュ アニメグランプリ 作品賞
・アビック・ビデオアワード'87 アニメーション賞
・第4回日本アニメフェスティバル 日本アニメ大賞・アトム賞 美術部門最優秀賞
・中央児童福祉審議会特別推薦
♪君をのせて 天空の城ラピュタ 井上あずみ
『君をのせて』
作詞:宮崎駿 / 作曲:久石譲 / 編曲:久石譲 / 歌:井上杏美(徳間ジャパン)
後に「となりのトトロ」や「魔女の宅急便」などの主題歌、挿入歌を担当することになる井上あずみさんのジブリデビュー作です。
また、2002年のDVD発売時に合わせ、石井竜也さんがアンサーソングとなる歌詞違いの『君をつれて』を発表すると共に、『君をのせて』のカバーをしています。
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