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永遠の絆、メビウス・ 最終章「鈴の音」①

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のぶさん
その夜、妻も一緒に彼女のために手を合わせてくれた。妻の気持ちも嬉しかった。

翌日、彼女の葬儀は、ホスピタルの教会室で行われた。
不動産会社の社長や職場同僚、当時の私の職場からも交流のあった人も来てくれた。
社長「ありがとう。最後まで付いててくれてたらしいなあ。、彼女も幸せもんだよ。」

 その時、社長が、「これは、これは。ありがとうございます」と言いながら、葬儀室に中年男性と女性を招きいれた。
「お父さんとお母さんだよ。」
「エッ?」
その時の葬儀での両親の態度には、みんな愕然とした。あまりの態度に・・・
 
 今思えば、この時のことがなければ、彼女のこともただの人生の思い出として残ったかのもしれない。
「社長、なんで探し出したりしたんですか?」
「イヤー、まずかったかなー。それにしても・・・」
社長も何やら後悔が残ったようであった。

 ― 葬儀が終わって -

「きり姉のことありがとう。見舞ったとき、いつも言ってたんよ。イケちゃんは・・・つかみどこがないけど、ほんとの友達かもしれん!幸せだよって」

「何だそれ。ミユキちゃんも、よくしてくれてたもんな。かわいい妹みたいなもんだって( ̄∇ ̄;)ハッハッハ。」
「なんでおまえ、泣くと鼻水垂れるんのよ??」
「それよりさあ、黒たまがいなくなったんよ・・・」
「そうか・・・、猫だからな、ご主人似でどこかふらっといったんじゃないか?それよりさあ、あいつ島原でのこと、話したことないか?」
「詳しくは知らないけどね。生まれは北九州だけど、ちょこっと島原のことは聞いたことあるけど、きり姉、謎多かったし・・・どうかした?」
「そうか。ミユキも知らないか。・・・・」

ー 鈴 の 音 ー
 その頃、住宅会社の営業で前任者が退職することで、一人のお客さんを引き継いだ。ある眼科病院の女医でした。けっこう気さくな先生です。何度か自宅へ行ったりするうち、お互い笑っていろんなこと話せるくらいになっていました。
 
 ある日、一度先生の働く病院を覗いてみようと思い、診察の終わるころに訪ねた。診察室の中へ入り、色々と建築計画の話をしている時・・・

「自宅の連絡先も教えてといてくださいよ。年賀状、書こうかしら( ̄∇ ̄;)ホッホッホッ」?」

名刺入れの中の名刺が切れていて、財布にあった1枚をとろうとした時だ。財布の中の指輪をフロアカーペットに落としてしまった。診察室にあった流しで手を洗っていた先生、

「鈴、落っことしましたよ!!」
「やだな先生!鈴じゃないですよ。指輪ですよ、指輪」
「あら、ほんと。鈴の音がしたから、てっきり・・・。でもメビウスリングね・・・・。それにしてもかわいいリングね。」

 落とした指輪を拾おうとした時、ハッとした。いなくなった彼女の黒たまには鈴がついてた。・・・
『アンタ、目を大切にして・・・』彼女の言葉を思い出した時、私は全身が震えたことを今も覚えている。

「先生、目の検査ってしたほうがいいですか?」

「そりゃあ、したほうがいいですよ。目って自覚がないところだから、何かおきてからする人がほとんどなんですけどね。」
「眼圧より眼底検査のほうが詳細がわかるからおすすめですけどね。どうかしたんしたの?やってみますか?( ̄∇ ̄;)ホッホッホッ」
「今から・・・、今から眼底検査やってもらえますか?」
「今から?この検査すると丸1日ぐらいぼやけて何もみえませんよ!それでも?」

 私の普通ではない様子から「ちょっと、検査の準備するからまっててね」
「はい。お願いします。」
 検査の後、画像写真を見ながらじっと先生は考え込んでた。真剣な顔をして両目を触りだした。
 先生、私の両肩をグッと掴んだまま、
「真面目に答えてね・・・・。あなた目は見えてるの?」
「エッ、視力は悪いですけど、見えてますよ。どうかしたんですか?」
先生は、机の上に肘をつき、両手で顔を塞ぎながらずっと考え込んでいました。

「いい、よく聞いてね。あなた、間違いなく必ず両目とも失明するわ!今見えてるのが不思議なくらいなのよ。」

私は先生が何をいってるのか、わからなかった。
「今、急に起きてもおかしくないのよ!」
「あなたの網膜は穴が数えられないくらいあって、体液が入り込んで裂孔も起こしてる。激しい剥がれもあって、こんな状態みたことがありません。普通なら目が失明している状態なのよ。見えてるほうが奇跡なのよ」

「なんでそんなことに?」
私の結果写真を使いながら説明をはじめた。
「あなたの網膜は生まれつき、毛細血管が全くないの。健康な目の状態なら、血管を通して栄養とかが行き渡って網膜が生きた働きをしていくんだけど、あなたには全くないから網膜の働きが衰えているのよ。」

「どうしたらいいんですか?」
「手術するしかないですね。でも完全に復元できるか?・・・難しいですよ。」

「でも、しょせん手術しても血管まで戻らないんでしょう?」

投げやりな言い方をしたからだろうか?
先生は今にも泣き出しそうな真っ赤な目をしながら、両手で私の顔を這わせながら話す顔に、あの彼女の涙で『体を大切にして・・・』と伝えていた姿が重なってみえた。

俺の肩をゆさぶりながら「あなた、このまま光を失うことになりますよ!!悲しむ人が何人もいるのよ。わかってるの!!私たちも精一杯するから、これは賭けと一緒なのよ!だから勇気をだしてよ!お願い・・・、お願いだから!」

先生が泣いていた。涙と検査後のぼやけた目で俺は天井を見上げていた。

「先生ありがとう。やってみますよ・・・」
先生は眼科医でもあるご主人に連絡し、今の状況を話して、緊急の手術の準備をはじめたが、専門の医師の都合で明朝から行われることになった。

「目が不自由でしょ。帰りは私が家まで送ってあげるわ。」
「いいですよ。なんとか歩いて帰れますよ・・・」
「送らせてって言ってるでしょう!!にぶい人ね!」
「そんなに怒らなくても・・・」
「ごめんなさい・・・。興奮しちゃって」
「でも・・・なんで検査を受けようと思ったの?」

私は車の助手席で彼女のことを話はじめた。

「そんなことがあったの?・・・・(* ̄- ̄)ふ~ん」

家に帰り着いた私は家内に目のことを話し始めた。家内も「どうしたらいいの?」ただ泣いていた。


  ↑ 太宰府観世音寺

―永遠の絆、メビウス― 最終章「鈴の音」②へ続く

のぶさん
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