◆◆今日は1988年4月に公開され、アニメ映画『となりのトトロ』の内容、感想などをご紹介します。
『となりのトトロ』(英題:My Neighbor Totoro)は、スタジオジブリ制作の長編アニメーション映画です。宮崎駿監督作品。昭和30年代前半の日本を舞台にしたファンタジーです。田舎へ引っ越してきた草壁一家のサツキ・メイ姉妹と、子どもの時にしか会えないと言われる不思議な生き物・トトロとの交流を描いています。キャッチコピー は、「このへんな生きものは まだ日本にいるのです。たぶん。」同時上映は、高畑勲監督の「火垂るの墓」でした。
今回はファンタジー作品なので作品の概要や難しい話は、なしで進みましょう~。
【となりのトトロ・登場人物、キャスト】
●サツキ(草壁サツキ):日髙のり子
草壁家の長女で12歳の小学6年生。親思いで聞き分けがよく、妹の面倒見もよく、寝坊した父に代わって手早く朝食やお弁当を作るしっかり者です。好奇心おう盛で肝がすわっており、新しい家の探検では妹の先に立って二階へと上がっていきます。また、初めてトトロに出会った時も怖がることなく傘を貸す度胸も。一方、病院から母の容態の悪化を告げる電報が届いた時には大泣きしてしまう繊細な一面も持っています。母からみると「聞き分けのよすぎる子」
終盤でメイが迷子になった時はけんかしたことが原因であると責任を感じ、トトロの力を借りて無事に見つけた後、メイと仲直りします。最後に病院に届けたトウモロコシには、つめで文字を刻みます。都会っ子だけど、持ち前の明るさと元気で田舎の暮らしにもすぐになじみ、転校先の学校でもすぐに友達ができています。
●メイ(草壁メイ):坂本千夏
草壁家の次女で4歳の女の子。姉のサツキと同じく親思い。努力家で聞き分けのいい姉とは対照的に、幼いので言い出したら聞かないがんこな性格。一点集中型の忍耐強い子。明るく元気だが、人見知りをして、サツキが一緒でないと無口になってしまう。父親似の性格。
幼稚園には通っておらず、父が大学へ行く日はカンタのおばあちゃんの家へ預けられているが、寂しさに耐えきれず姉の小学校まで来てしまうなど、姉を慕っていて仲がいい。
好奇心が強く、初めて見た中小トトロを追ってトトロのすみかまでたどり着いています。また、姉以上に肝がすわっており、夜中に庭でトトロに会い、空を飛ぶ場面では、姉より早くトトロの胸に飛びついています。
トウモロコシをちゃんと言えずトウモコロシと言ったり、オタマジャクシをオジャマタクシと言ってしまったりします。またこの作品では何もない所でよく転んで、大雨の中では転んだ拍子に服が泥だらけになったりするなど、幼児らしい所をしばしば見せている。顔のモデルは宮崎さん自身です。
物語終盤では母が死ぬかもしれないと泣き崩れるサツキを見て、母を救うためにトウモロコシを届けようとして病院へ向かおうとしたことで迷子になってしまい、サツキはトトロの力を借りて探すことになり、ネコバスに乗って、無事に届けることができました。
●お父さん(草壁タツオ):糸井重里
サツキとメイの父。身長180cm。32歳。東京にある大学で、非常勤講師として考古学を教え、生活費を稼ぐため翻訳の仕事(主に中国語)もこなす。寝坊癖があり、少しおっちょこちょいで頼りないが、優しく落ち着きがあります。お化け屋敷に住むのが小さいときから夢だったと語るなど、いついかなる時も子供心を忘れない純粋さの持ち主です。陽気な性格で仕事に熱中すると、家事がおろそかになってしまいます。
トトロと会ったことはないが、二人の娘の目撃談を疑っておらず、塚森の主と考えています。俳優のイッセー尾形さんが声優をつとめる予定でしたが、イッセー尾形さんの事務所スタッフが、糸井重里の方が適任だと紹介し、糸井がキャスティングされることになりました。なお、糸井さんはこの作品からジブリ作品のキャッチコピーを担当することとなります。
●お母さん(草壁靖子:くさかべやすこ):島本須美
サツキとメイの母。優しく穏やかな性格です。明るい性格で賢い女性です。メイから「お母さん、おばけ屋敷好き?」と聞かれた時は、「もちろん」と答えています。しかし体が弱く、「七国山病院」に入院しています。作中では靖子の病名は明言されていません。サツキが夏休みに入って一時退院が決まっていたが、風邪をこじらせて延期になってしまいます。その事を病院側が電報で知らせたために、メイが迷子になる騒ぎが起き、そのことを申し訳ないと思い、退院したら2人のわがままをいっぱい聞くつもりだと話しています。エンディングでは、無事退院した姿を見せているし、娘たちといっしょにおふろに入ったり、三人で布団に入り彼女が本を読み聞かせたりしています。この時彼女は、娘たちと同様にこの家のことをボロねと言っています。ロマンアルバムに彼女は周囲の反対を押し切ってお父さんと学生結婚した行動力の持ち主という記述もあります。ロマンアルバムで、映画開始時点で、入院生活は1年になっています。(『ロマンアルバム となりのトトロ』、小説の8頁にも同じ記述がある徳間書店、93頁。)
●トトロ(大トトロ): 高木均
森の主であり、この国に太古より生き、巨大なクスノキ (の穴の中) にすんでいる生き物です。トトロは精霊などではなく、動物です。毛色は灰色で、胸から腹にかけて白い。胸には灰色の模様がある。多くは塚森にあるクスノキの穴の中で眠っています。子供にしか見ることができない(普通は人間には見えない)。また、すみかのクスノキの穴は、いつも開いているわけではなく、彼らの主食はドングリ (木の実) で、中と小トトロが下記の通りに葉を食べているし、エンディングに土器に入った木の実だけでなく、そばの土器にキノコが入っているのがわかります (ロマンアルバムに縄文人から縄文土器の使い方を習ったという記述がある) 。『となりのトトロ ロマンアルバム・エクストラ』徳間書店、p.83,133。
まいたばかりの木の実をすぐさま大木に成長させたり、回転するコマの上に乗って空を飛ぶことができます。月夜の晩にはオカリナを吹いています。また、雨の日のバス停でサツキから父の傘を借りてからはそれも持ち歩くようになります。ロマンアルバムの監督の話で、トトロは傘を雨が当たると音が鳴る楽器だと思っている上に、サツキからもらったと思っているので、お礼に木の実をくれたし、返そうとは思っていません。映画企画書は雨の日に傘代わりに頭にのせていたのは大きなフキの葉です。
「トトロ」という呼び名は伝承などに由来するものではなく、メイに名前を聞かれた時、うわのそらで眠たげに「ドゥオ、ドゥオ、ヴォロー」、という太い声を上げ、これを返事と思い込んだメイには「トトロ」と聞こえました。映画パンフレットに本当の名前は誰も知りませんと書かれていません。映画パンフレットにトトロたちは親子という記述があります。 (つまり大トトロが父親、中トトロが長男、小トトロが次男らしい)
初期の設定での名前は「ミミンズク」で、年齢は1302歳。身長は2m。おおとうさん (つまり祖父) 。
●中トトロ
毛は青く、大トトロと同じで胸から腹にかけて白い。胸には大トトロと同じ形で青い模様があります。小トトロより一回り大きく、よく木の実が入った袋を持ち歩いています。小トトロと同行中にメイに発見され、追いかけられました。夜中に庭の木の実から大木を生やした後、持っていた中くらいの葉 を食べました。初期設定での名前は「ズク」で、年齢は679歳。とうさん。
●小トトロ
毛は白い。半透明になったり姿を消すことができます。中トトロといっしょに行動します。3匹の中では最初にメイに発見され、追いかけられた。普段は手は描かれていいませんが、オカリナを吹いたりする時は毛の中から出ています。大きさは、小狸 (子ダヌキ) くらいです。上記の中トトロと同様の庭に大木を生やした場面で、持っていた小さなふた葉を食べた。初期設定では名前は「ミン」で、年齢は109歳。息子らしい。
●ネコバス: 龍田直樹
身体がボンネットバスのような巨大なオスの化けネコ。黄色の体毛で、茶色の大きなトラ柄。
ボンネットにあたる部分が頭で、背中が空洞になった胴体は柔らかな毛皮に覆われた座席になっている。昼間は普通の黄色い眼だが、夜は眼全体が黄色いヘッドライトになって光り、額の両サイドのネズミの眼全体が赤いマーカーランプ、しりの両サイドのネズミの眼全体が赤いテールランプで、12本の足で水上、電線など、場所を選ばず風のように高速で走り、森の中を抜けるときは木々が脇によけて道を空けます。
ネコバスもトトロ同様、子供にしか見えないが、走り去る姿に犬が反応して吠え付いたり、送電線に留まっていた小鳥たちが接近に応じて飛び立つ描写があります。実際のバスのように行先表示窓(方向幕)があり、状況に応じて行先が表示されます。
宮﨑さんによると、昔はカゴ屋に化けていたが、バスを見てからはバスの姿や行動をまねるようになったのだという。これは、日本の神が新しい物好きであるためだという。 ジブリ美術館限定公開の作品「めいとこねこバス」にはメイひとりしか入れないものから、列車のように長いもの、大型客船ほどもあるものまで様々な個体が登場します。
●まっくろくろすけ(ススワタリ)
草壁家に住んでいた、イガ栗 (いがぐり) のような形で、真ん中に二つの目がついた黒い生き物。おばあちゃんはススワタリと呼んでいる。家中をすすとほこりだらけにしてしまう。元がすすでできているためか触ったりすると真っ黒になってしまう。「ワリャッ!」という声は、アフリカに住むピグミーの声をサンプリングし、久石さんが作成したものです。後年のスタジオジブリ作品『千と千尋の神隠し』においても、釜爺 (かまじい) の助手として石炭運びをするススワタリが登場するが、こちらには細い手足が生えていました。ススワタリはサツキたちが夜おふろに入っている間に、空を飛んで塚森に引っ越します。
●おばあちゃん:北林谷栄
カンタの母方の祖母。隣家の大垣家に住み、草壁家が引っ越してくるまで家を管理していました。サツキとメイを孫のようにかわいがり、二人の面倒をよく見てくれます。畑でいろいろな野菜や花を育てています。小さいころにはススワタリが見えたという。エンディングで、メイと二人で頭上でダイコンなどを干している部屋の中で冬支度をしています。
●カンタ(大垣勘太):雨笠利幸
サツキのクラスメイト。身長はサツキより少し低い。学校などでは靴を履くが、家の仕事を手伝う時は草履 (ぞうり) を履いています。サツキたちの引っ越しの日に彼がサツキに渡したのは母が作ったおはぎで、サツキたちが食べている。映画終盤で、メイを自転車で探しに行こうとしている彼のことをサツキはカンちゃんと呼んだ。
純情で照れ屋な性格です。都会から来たサツキが気になるようで、授業中に彼女をながめていて先生にしかられたり、雨宿りしていたサツキに傘を貸し、自分は雨の中をうれしそうに走って帰ったりしています。気持ちを言葉で伝えるのは苦手だが、後半ではサツキとけんかして泣きじゃくるメイに声を掛けたり、メイが迷子になり途方に暮れていたサツキの元へ駆け付けるなど、頼れる一面も見せるようになっています。メイを探すために、親の自転車で七国山病院まで行こうとしたが、途中でタイヤがパンクし、戻ってきた所でサツキたちと合流します。よく家の仕事を手伝っているが、飛行機模型で遊ぶなど年相応の描写もある。エンディングでは、秋になり、サツキや他の子供たちといっしょにいる姿や、サツキやメイといっしょにたき火で焼きイモを作っている姿を見せています。
●カンタの母:丸山裕子
典型的な肝っ玉母さんで、ずぶぬれで帰ってきた上に、学校に傘を忘れたというすぐに分かるようなうそをついたカンタに、ゲンコツをお見舞いしています。この時彼女はカンタが傘を振り回して壊した (その後壊れた傘をどこかに捨ててきた) と思っていた。その後サツキとメイが傘を返しに来た時は律儀に返してくれたことを感謝しました。
●カンタの父: 広瀬正志
作中では、婿 (むこ) 養子と思われる描写がある。あまり存在感がありません。
●学校の先生(森山玲子):鷲尾真知子
サツキの担任。大柄の大学を出たばかりの若い女性教師。草壁家の事情を理解しており、メイが寂しがって勝手に学校に来た時は、放課後まで教室でサツキの隣に座ることを許してくれた。
●ミチ子(ミッちゃん):神代智恵
サツキのクラスメートで、引っ越してから最初にできた友達です。朝、登校するサツキを迎えにきました。サツキからはミッちゃんと呼ばれています。学校ではサツキの隣の席に座っています。エンディングではサツキたちといっしょに木登りなどで活発に遊んでいる姿を見せています。
●草刈りをしている男性:千葉繁
サツキにメイのことを聞かれたおじさん。
●本家のおばあちゃん: 鈴木れい子
カンタの家の本家 (ほんけ) 筋にあたる親戚 (しんせき) 。サツキに電話を貸した(舞台年代は、昭和30年ごろの話で、私の幼い頃は、家に電話がつきました。というだけで拍手を浴びていた時代です。当時は電話は各家庭に普及していませんでした余談で失礼)。
●農作業車を運転していた男:中村大樹
若い男性。いきなり飛び出してきたサツキをどなりつけてしまいましたが、事情を理解すると同情してくれました。彼と良子はアベック。
●農作業車に乗っていた女(良子〈リョウコ〉ちゃん):水谷優子
農作業車の荷台に乗っていた若い女性。七国山病院に行こうとして迷子になったメイのことを聞くサツキに、「七国山から来たが幼い女の子は見ていない」という情報を伝えた。
●郵便配達員:西村智博
七国山病院から母の病気に関する電報を届けに来たが、留守だったので隣のカンタの家に預けに行く。ロマンアルバムに電報配達人とも表記。同一人物かどうかは不明だが、映画の冒頭でサツキたちの引っ越しのオート三輪が郵便配達員の自転車を追い越す。その時サツキとメイはお巡 (まわ) りさんと見まちがえて隠れるが、後に郵便配達員だと気づき、あいさつをする。サツキたちが隠れた理由は、小説と同じで、オート三輪に荷物を積み過ぎているのと、本当は人が乗ってはいけない荷台 (にだい) に子供たちが乗っていたため、罰金を取られるか、ろう屋に入れられると思っていたからである。
●バスの車掌:平松晶子
雨の日、サツキとメイが、自宅から最寄りの稲荷 (いなり) 前の停留場へ父の傘を持って行った際に止まったバス (父はこのバスではなく、次のバスに乗っていた) の車掌 (当時のバスは、車掌が乗っていてその車掌に料金を支払うのが普通だったのです) 。
【となりのトトロ・ストーリー】
昭和30年代前半の初夏 のころ。小学生のサツキと、幼い妹のメイ、父の三人が、入院療養中の母の病院の近くであり、空気のきれいな所で暮らそうと、農村へ引っ越してきたのでした。サツキとメイは、引越し先の古い家を探検していると小さなボールほどの真っ黒なかたまりが住み着いているのを見つけます。
引っ越しの手伝いに来ていた隣のおばあちゃんが、二人にそれはススワタリというもので、子供にしか見えず、害もなく、人が住み始めるといつの間にかいなくなってしまうよと教えてくれるのでした。おばあちゃんの孫のカンタが、おばけ屋敷と呼んでからかうこの家で三人は新しい生活がはじまるのでした。
小学校が田植え休みになった6月のある日、三人は入院している母の見舞いに行きます。そして新しい家がおばけ屋敷だったよと伝えるのでした。サツキとメイは母がおばけ嫌いであることを心配していたが、母は少しも怖がらずに「自分もおばけに会いたい・・」と言ってくれる。ほっとした二人は、母が早く退院していっしょに暮らせることを願うのでした。
そんなある日、一人で庭で遊んでいたメイは、不思議な小さな生き物を二匹見つける。追いかけていったメイが、家の隣の塚森の中心で、大きなクスノキの根元に開いた深い穴の入り口でドングリを拾おうとして穴の中に転がり落ちてしまいます。穴の底にぽっかり開いた空間に大~きな生き物が寝ているのです。メイが名前を聞くと生き物は何かつぶやくのですが、メイには"トトロ"と答えたように聞こえたのでした。やがてトトロのおなかの上で眠ってしまったメイは、いつの間にか塚森の中で一人で寝ているところをサツキに発見されます。▼メイはサツキと父にもトトロを見せようとするが、トトロがいた場所を見つけることができません。二人が笑い出したため腹を立てたメイに対し、父は「トトロはきっとこの森の主で、いつでも会えるわけではないのだよ」と優しく教え、三人で塚森へ向かうと「これからもよろしくお願いします」と引っ越しのあいさつをします。その晩、サツキは母あての手紙にこの出来事を書き記し、自分もトトロに会ってみたいと添えるのでした。
梅雨の季節となった雨の夕暮れ、サツキとメイがバス停で父の帰りを待っていると、辺りが暗くなって、大トトロがやって来て二人の隣にボーっと立つのでした。ずぶぬれのトトロを見かねて、サツキが父の傘を貸してやると、トトロはお礼に木の実が入ったササの葉の包みを渡し、バスの姿をしたネコ(ネコバス)に乗って行ってしまいます。帰宅した二人は木の実を庭にまいたがなかなか芽がでません。7月の満月の夜中に、二人が目を覚ますとトトロたちが庭を歩き回っているのです。トトロたちが祈ると庭土から芽が出てそれがあっという間に大木へと育っていきます。大トトロは不思議なコマを回すとそれに乗り、中と小トトロ、サツキとメイを抱いて空を飛びます。やがて、クスノキの高枝でトトロたちとサツキ、メイが吹くオカリナの音色が聞こえてくる。翌朝、二人が目覚めると大木は消えていたが、庭には小さな芽がたくさん出ていた。二人は「夢だけど夢じゃなかったあ~」と大喜びするのでした。
やがて夏休みとなった8月のある日、二人がおばあちゃんといっしょに畑で野菜を収穫していると、カンタが「レンラクコウ」という病院からの電報 (でんぽう) を持って走ってくる。サツキは父と電話で連絡を取り、母が体調を崩してしまったために退院が延びたことを知ります。しかし、そのことをメイに伝えると、メイは「いやだいやだ」とだだをこね、二人は大喧嘩してしまいます。だが、家に戻った直後にサツキはこらえきれずに、おばあちゃんの前で大泣きしてしまいます。しっかり者のサツキも、内心は母を失うかもしれない不安と怖さでいっぱいだったのです。その様子を見ていたメイは日が暮れる中、トウモロコシを抱いたまま一人でどこかへ向かい、そのまま行方不明となってしまいます。村の人々が総出で探し回るがメイは見つからず、途方にくれたサツキは、ワラにもすがる思いでトトロに助けを求めに塚森へ行くのでした。
大トトロはサツキを連れてクスノキのてっぺんに登り、ネコバスを呼び寄せます。サツキを乗せたネコバスは風のように走って、道に迷って泣いていたメイを見つけるのでした。メイは母にトウモロコシを届けようとしていたのです。
すっかり日が暮れ、ネコバスが二人を病院に連れて行くと、そこには元気そうに父と話す母の姿がありました。母が二人の気配を感じて目を向けると、窓辺にメイが持ってきたトウモロコシが置かれており、その葉には「おかあさんへ」と刻まれていました。
その後、サツキとメイはネコバスで家まで送ってもらい、そこでカンタとおばあちゃんと合流すると、四人で仲良く家路を歩いていきます。トトロたちは今夜もクスノキの上で仲良くオカリナを吹いているのです・・・
【となりのトトロ・制作、公開データ】
製作:徳間康快
企画:山下辰巳
音楽:久石譲
作画監督:佐藤好春
原画:丹内司、大塚伸治、篠原征子、遠藤正明、河口俊夫、田中誠、金田伊功、近藤勝也、二木真希子、山川浩臣、田川英子、マッドハウス(新川信正、岡村豊、工藤正明)
動画チェック:立木康子、舘野仁美
動画:坂野方子、コマサ、諸橋伸司、大谷久美子、槇田喜代子、田中立子、松井理和子、服部圭一郎、水谷貴代、椎名律子、遠藤ゆか、尾崎和孝、手島晶子、岩柳恵美子、宮崎なぎさ、前田由加里、竹縄尚子、岡部和美、新留理恵、岡田正和
山懸亜紀、日暮恭子、渡辺恵子、福冨和子、スタジオファンタジア(吉田肇、長野順一、大田正之、北村直樹、山本剛)、アニメトロトロ(山浦由加里、伊藤広治、石井明子、川村忠輝)、ドラゴンプロダクション
美術:男鹿和雄
背景:松岡聡、野崎俊郎、太田清美、吉崎正樹、武重洋二、菅原紀代子、山川晃、伊奈淳子、松浦裕子、小林プロダクション(木村真二、白石誠、松室剛、大塚伸弘、田中貞彦)、アトリエブーカ(金子英俊、田村恵子)
特殊効果:谷藤薫児
色彩チーフ:保田道世
色彩設計・色指定:水田信子
仕上検査:本橋政江、立山照代、成田賢二、中村美和子
仕上:スタジオキリー(岩切紀親、西牧道子、高橋直美、渡辺信子、渡部真由美、大出美智子、森沢千代美、吉田久、山村及利子、大川直子、工藤百合子、高木夕紀、原田徳子、梶田とよ子、米井フジノ、高橋愛子、柳登紀、岡美代子、山根文、田中初江、太田美智子、安達順子、藤野洋子、村田佳子)、スタジオステップ(京野由紀、朝日朋子、塙洋美、沢内順美、鈴木怜子、渋谷礼子、竹倉博恵)
仕上協力:スタジオルンルン、童夢舎、スタジオビーム、スタジオ雲雀、協栄プロダクション、グループジョイ、トランスアーツ
撮影:白井久男
撮影:スタジオコスモス(黒田洋一、池上元秋、前原勝則、鈴木典子、大藤哲生、佐伯清、池谷和美、野口博志、伊藤寛、難波充子、杉山知子、鈴木克次、池上伸治)
音響制作:オムニバスプロモーション
音響監督:斯波重治
音響補佐:浅梨なおこ
整音:井上秀司
整音助手:住谷真、福島弘治、大谷六良
音響効果制作:E&Mプランニングセンター
音響効果:佐藤一俊
音響効果助手:小野弘典
台詞編集:依田章良
音楽制作:ワンダーシティ
音楽プロデューサー:三浦光紀
音楽ディレクター:渡辺隆史、三宅明夫
エンジニア:マスタリング
レコーディング:大川正義
アシスタント:浜田純伸、沖津徹
CD制作:徳間ジャパンコミュニケーションズ
録音スタジオ:音楽収録 ワンダーステーション、にっかつスタジオセンター
台紙収録:東京テレビセンター
編集:瀬山武司
編集助手:足立浩
演出助手:遠藤徹哉
制作担当:田中栄子
制作デスク:木原浩勝、川端俊之
制作進行:伊藤裕之、鈴木高明
仕上技術協力:城西デュプロ(村尾守)
宣伝顧問:堀内實三
「となりのトトロ」
製作委員会:小金井道宏、金子彰、粕谷昌宏、朝生茂、佐々木崇夫、鈴木敏夫、田所稔、大塚勤、白石彦五郎、小鷹久義、小林智子、横尾道男、坪地義雄、吉田哲彦
現像:東京現像所
DOLBY STEREO技術協力:極東コンチネンタル株式会社
森幹生
製作協力:博報堂
企画協力:アニメージュ編集部
制作:スタジオジブリ
プロデューサー:亀山修
チーフプロデューサー:尾形英夫
エグゼクティブプロデューサー:加藤博之、原徹
原作・脚本・監督 宮崎駿
配給:東宝
公開:1988年4月16日
上映時間:86分
興行収入:11.7億円
配給収入:5億8800万円
現在、アニメ映画『となりのトトロ』はどの動画配信サービスでも配信されていません。
しかし、宅配レンタルサービスである「TSUTAYA DISCAS」では旧作DVDとして取扱中です。ツタヤディスカスの無料トライアルを利用することで『となりのトトロ』を無料で視聴することができます。
オープニングテーマ
▲さんぽ - となりのトトロ 井上あずみ
♬「さんぽ」
作詞 - 中川李枝子 / 作曲・編曲 - 久石譲 / 歌 - 井上あずみ
童謡としてもよく歌われていますね。カラオケなどでもアニメソングでなく童謡に分類されている時があります。
CDでは杉並児童合唱団のコーラスが付いているが、映画では井上のソロで2番が省略されている。
エンディングテーマ
▲となりのトトロ - 井上あずみ(フル)
♬「となりのトトロ」
作詞 - 宮崎駿 / 作曲・編曲 - 久石譲 / 歌 - 井上あずみ
映画では転調せず、2番のサビで終了します。
イメージソング
▲風の通り道 合唱版
【となりのトトロ・その反響と考察】
本作の公開当時の観客動員数は約80万人といわれています。配給収入も5.9億円と『風の谷のナウシカ』を大きく下回り公開当時は振るわず、興行的には外れてしまっています。しかし、この失敗のおかげで資金回収のために『魔女の宅急便』が製作されることになりました。しかしキネマ旬報では「日本映画ベストテン」第1位など、各種日本映画関係の作品賞を獲得しています。更に1989年4月28日以降、日本テレビ放送網の『金曜ロードショー』でジブリ最新作公開年の夏、最新作公開日前夜の放送日等に放映されており、毎回高視聴率を記録しているのです。2010年7月23日には『金曜ロードショー』枠で1989年4月のテレビ初放送から数えて12回目のテレビ放送が実施され、全12回中10回目の視聴率20%越えを達成した(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム)。1998年以降は2年おきにテレビ放送されており、2014年7月11日に14回目、2016年11月4日に15回目、2018年8月17日に16回目、2020年8月14日に17回目の放送となる。
トトロのキャラクター商品第一号である、映画公開時に宣伝用に販売したぬいぐるみは合計666,920個を販売し、1989年末にサン・アローから発売されたぬいぐるみ(前述の物とは異なる)を1990年に『となりのトトロ』がテレビ放映された際に視聴者プレゼントしたところ、日本テレビに200万通という応募はがきが殺到しています。サン・アローから発売された「となりのトトロ」のぬいぐるみは1991年2月時点で、大トトロが計約100万個、中トトロと小トトロが計約60万個、その他が計約50万個(合わせて計約210万個)を販売しています。キャラクター人気と販売の好調ぶりを、ジブリのプロデューサーである鈴木敏夫は「一番の稼ぎ頭」と表現しています。なお、元々鈴木さんと宮崎さんはキャラクターグッズに否定的であったが、上記のサン・アローの関係者が見本を持ってきて、この出来がすこぶるよく、宮崎さんが許可を出したといわれています。またキャラクターとして定着したトトロは、『おもひでぽろぽろ』以降、スタジオジブリのシンボルマークとしても使われています。ジブリ映画にはブルーバックにトトロが描かれたものが使用されるようになり、以前の作品がビデオやDVD化される時も本編に追加されるようになりました。
1997年6月27日にはブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメントよりビデオが発売され、発売後約1ヶ月でなんと!100万本を出荷するヒットになりました。そして、2001年9月28日にはブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメントよりDVDが発売された。こちらもオリコンDVDチャートで前人未到の500週ランクインを達成し、国内DVD売上もアニメ作品史上4作目となる100万枚を突破しています。
故黒澤明監督にして「ネコバスが凄く気に入った!」と語っており、「黒澤明が選んだ100本の映画」にてアニメ作品で唯一トトロが選ばれています。トイ・ストーリーやファインディング・ニモの監督・総指揮で知られるジョン・ラセターは「僕の人生で最も好きな映画の1つだよ」と述べています。
2005年開催の「愛・地球博」では、本作に登場した「草壁家」が『サツキとメイの家』として再現され、長久手会場に建設されました。好評により博覧会終了後も保存され、現在は愛・地球博記念公園にて予約制で見学できる。
本作のヒットにより、各地で本作をイメージさせる場所や物が話題となり観光名所になるといった現象が発生しています。
バンダイが行ったアンケート「バンダイこどもアンケートレポート」によると、0歳から12歳までのこどもがいる保護者を対象に行ったアンケートにおいて、作品の公開から20年以上経過している2011年1月(集計は前年10月に実施)時点で、こどもに見せたい映画の第1位を獲得います。依然として根強い人気の映画と評価されています。また、集計を行ったバンダイは、親にとってサツキとメイは理想の女の子であると分析しています。私は個人的に考察してみましたが、本作は言い換えれば大人にも見せたいアニメ映画の一作だと思っています。
宮崎駿監督は、ジブリの『天空の城 ラピュタ』制作時より、1980年頃からアニメーション作品も内容が、対象年齢を高年齢に向けている傾向が多くなってきているアニメに対して、マンガ映画の復活を目標に小学生を対象に古典的な冒険活劇として企画され、それが結果的に大人の鑑賞にも耐えうる作品になればというのが宮崎氏の方針であったのですが、この方針が本作『となりのトトロ』にも生かされている、そんな気がしてなりません。本作はファンタジーアニメ映画ですが、大人になっても子供の頃を忘れないでというキーワードが隠されている作品だと思います。
メイとトトロ
👆励みになります。ポチっとな
スポンサーサイト