🔶今回は、前回記事末で紹介した、ネットもない時代にどうやって宇宙戦艦ヤマト(TVシリーズ第一作)は人気を博していったのか、その考察記事をご紹介したいと思います。
【宇宙戦艦ヤマトが登場した時代】
宇宙戦艦ヤマトをアニメジャンルで分類するとなると、SFアニメ作品ということになりましょう。ヤマト(第一作)が登場したのは、1974年10月6日から1975年3月30日まで26回にわたり、讀賣テレビ放送をキー局として放映されました。視聴率に関していえば、ビデオリサーチ調べで平均6.0%、ニールセン調べで平均7.3%に終わっています。1974年に登場したTVアニメをみても、「アルプスの少女ハイジ」、「ゲッターロボ(第一作)」、大人気だった前作「マジンガーZ」に続いて「グレートマジンガー」が放送されていたりと、TVアニメでは勧善懲悪のヒーローや名作もののアニメなどが出始めたころになります。遡ってみても、SFアニメ作品というのは登場してきていません。
むしろ、1966年『ウルトラQ』から始まった特撮ウルトラシリーズが、若干、SF的要素を醸し出していました。そのウルトラシリーズも1973年が『ウルトラマンタロウ』、1974年に『ウルトラマンレオ』と若干視聴率にも陰りが出始めている頃でした。まだ、映画『スターウォーズ』も公開されていません。
ヤマト(第一作)の人気が、当時は再放送の度に視聴率が上がっていきました。インターネットもない時代、ソニーがベータマックス方式の家庭用VTRを23万円という価格(+o+)で発売したのは1975年です。どうやって伸びたのか?わかりやすいその答えは、口コミです。口コミしたくなるその魅力がその作品にあったことになります。
当時の私自身の中学生生活からみてみることにします。
【SFアニメ宇宙戦艦ヤマト・そのマニアックな魅力】
びっくりしたのは、まず、OPです。コーラスのみではじまるのちに【鎮魂タイプ】と呼ばれるオープニングの歌です。
当時、こんなオープニングの作品などはありませんでした。
そして、エピソードの初めに流れる、放射能汚染による人類絶滅まであと365日とかかなり重く暗い設定の作品は、どう受け止めてよいかわからなかったが、リアリティは今までのアニメ作品にはないものでした。
そして、オーケストラを使っての演出、これが、もう圧倒的迫力でただのアニメ作品ではない存在をアピールすることになりました。
▲ガミラスの遊星爆弾による無差別攻撃。赤茶けた地球から始まる作品はヤマトだけ。
👆YAMATO BGM 元祖ヤマトのテーマ
学校でクラスメートに『昨日観た~?』話すと「観た」「観てない」「観たくない」の三派。観たというグループの中で、女の子が意外と観ている子が多くて「あのスキャットがいい~♬」男女ともに「往復29万6千光年のあのイスカンダルへの航海図、あれがいい~」
最初から観てなかった子は「ねえ、最初から教えてよ~」とか「あの時間、うちじゃみれんけん、今度行っていい!?」とか、段々ヤマトにはまる子が増えていきました。
▲エピソード最初に出てくるヤマト航海図(イスカンダルに近づくたび➡が延びていく)
そしてシリーズの終わるころ、社会見学としてTV局(NHK)へ行った時、何人かの子が👨「再放送して欲しい番組とかお願いしたらできるんですか?」とか質問してました。
「どの番組が好きですか?」
👨「ヤマト!」
📺「うちではできませんよ。今はできないと思いますが、終了してキー局が外れれば、系列局で可能と思いますけど」
こんな感じ(笑)であった。けど、アニメに関するコミニュティーがなかった時代、生のこんな声が再放送が増えるきっかけになったことは、間違いありません。そして、当時のSFファンからは人気を得て、日本SF大会の1975年のファン投票で星雲賞を受賞しています。また1975年の日本SF大会の会員数が飛躍的に伸びはじめたのは、間違いなくヤマトの影響です。
また、『宇宙戦艦ヤマト』には、今までのアニメにはなかった人間ドラマとしての部分も魅力がありました。個人的にはヤマト館内での隊員たちの人間関係の描写部分が好きでした。
●現在、宇宙戦艦ヤマト第一作の配信先はありません。
【SFアニメ宇宙戦艦ヤマト・そのもたらした影響】
本放送では失敗したが、1975年9月より北海道札幌地域、翌1月より読売テレビ系で再放送が始まり、他地域でも続々と再放送が行われるにつれ、『宇宙戦艦ヤマト』が再評価されるようになりました。特に関東地方では20%の視聴率を記録したといわれています。この再放送や映画化により社会現象とも言える人気を得て、1977年の劇場版『宇宙戦艦ヤマト』公開のみならず、アニメ史上で様々な影響をもたらしました。
同人誌即売会のコミックマーケットは当初は少女マンガが中心であったが、本作によりアニメのサークルの参加が増え始めたと言われています。
1970年代から1980年代の声優ブームは、本作のヒットによってアニメ声優さんが、注目された影響とも言われています。私は本作でアナライザー役の緒方賢一さんに興味を持ちました。こうした声優さんたちの活動が、いわゆる演劇の活動にも興味が起きるようになりました。
漫画市場においても、『宇宙戦艦ヤマト』が、漫画とテレビアニメの関係がどちらが主体とは言い難い複雑で密接なものとなって、メディアミックスによる市場拡大がなされる転機となった作品との評価もあります。
後のクリエイターに与えた影響も大きく、庵野秀明さんや出渕裕さんらは、ヤマトがなければ今の自分はなかったとの旨を語っています。またガンダムの富野由悠季さんは、ヤマトのプロデューサー西崎義展さんをライバル視(プロデューサー力は認めている所以)していて「絶対叩いてやる!」と豪語していました。
本作が当時の私達、中高生に人気を博した理由に関しては、高校進学率や大学進学率が大きく伸びた時代で、中高生が本作のようなアニメを楽しむ余裕がでてきたころにあたっていたのではないかとも思います。また、「サブカルチャー」に群れることで空想の世界に溺れるようになり、オタクが生まれる土壌ができたともいえますね。
本作『宇宙戦艦ヤマト』も時を隔てて『宇宙戦艦ヤマト2199』は、2012年に劇場先行公開およびビデオソフト先行発売、2013年4月7日から同年9月29日までMBS・TBS系列でテレビ放送されたアニメ作品としてリメイクされました。
宇宙戦艦ヤマトシリーズのテレビアニメ版のひとつであります。圧倒的なビジュアルスケールで描写されています。
👆宇宙戦艦ヤマト2199③ / ささきいさお・ほか
空で4番まで歌えるようになりましょう~!(^^)!
先日、アニメージュとジブリ展に行って、日本のアニメを語る時、どうしても、忘れられない人、作品を想い出します。
次回、時をもう少し巻き戻します~。
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