🔶前記事では、宇宙戦艦ヤマトのOVA作品『大ヤマト零号』の考察記事でしたが、今回のアニメの徒然小道は、時は飛びますが、原典TVシリーズ『宇宙戦艦ヤマト』のリメイク版『宇宙戦艦ヤマト2199』の考察記事です。
【宇宙戦艦ヤマト2199・作品の概要】
『宇宙戦艦ヤマト2199』(うちゅうせんかんやまとにいちきゅうきゅう)は、2012年に劇場先行公開およびビデオソフト先行発売され、2013年4月7日から同年9月29日までMBS・TBS系列でテレビ放送されたアニメ作品です。宇宙戦艦ヤマトシリーズのテレビアニメ版のひとつとなります。本項では、テレビシリーズを考察したいと思います。
1974年に読売テレビ制作・日本テレビ系列でテレビ放送され、後に社会現象と評されるまでになった『宇宙戦艦ヤマト』第1作(以降、「旧作」)を原典とする38年ぶりのリメイク作品であり、素材は完全新作アニメーションとして制作されました。
総監督に出渕裕さん、キャラクターデザインに結城信輝さんを起用し、アニメ制作はXEBECとAICが担当しています。音楽は、旧作を手掛けていた宮川泰さんの実子である宮川彬良さんが担当しています。
本作はテレビシリーズとして製作され、まず、テレビ放送に先駆けて2012年4月7日から全国10映画館(後に館数増加)で先行イベント上映が行われ、それに並行して有料配信やビデオソフト販売が行われています。なお、テレビ放送は当初2012年を予定していたが、後に2013年以降になることが発表され、2013年4月7日からテレビ放送が開始されました。
“「宇宙戦艦ヤマト」33年ぶりTV新シリーズ放映 激戦日曜日で勝負-スポニチ”. スポニチ Sponichi Annex 芸能 (スポーツニッポン新聞社).
イベント上映、BD・DVDの累計50万枚を超えるヒット
、プラモデルをはじめとする関連商品の展開などにより、開始1年半で経済圏100億円を超えています。( “「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」12月6日全国公開決定 「追憶の航海」上映も明らかに)
2013年9月29日の最終話放送終了後、完全新作の劇場映画が2014年に公開と告知。2014年10月11日に総集編『宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海』が、同年12月6日に新作映画『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』、2017年2月25日から続編である『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』も公開されました。
【宇宙戦艦ヤマト2199・ストーリー】
👆宇宙戦艦ヤマト2199 第一章 遥かなる旅立ち PV02
時は西暦2199年。地球は異星国家「ガミラス」と数年にわたり星間戦争を行っていました。圧倒的な軍事力を持つガミラスに地球防衛艦隊は壊滅寸前へ陥り、地球には遊星爆弾を用いた爆撃によって地上が壊滅し汚染され、人類は地下都市へ追いやられる。地表の汚染は地下都市にも達し始めており、人類絶滅まで1年と迫っていた。
そんな中、地球はガミラスとは異なる異星人の惑星「イスカンダル」からの技術供与を受け、恒星間航行可能な宇宙戦艦「ヤマト」を完成させる。そして、イスカンダルに存在する汚染浄化システム「コスモリバースシステム」を受け取るため、艦長沖田十三の下、古代進・島大介・森雪ら乗組員を乗せたヤマトは、16万8千光年彼方の大マゼラン銀河のイスカンダルへ、往復33万6千光年の旅に旅立ちます。
👆宇宙戦艦ヤマト2199 第三章 『果てしなき航海』PV
地球から旅立ったヤマトは、地球初の超光速航法(ワープ)に成功するとともに、波動エンジンの副産物である波動砲を使用しながら、立ち塞がるガミラスと戦い、イスカンダルを目指していきます。一方、ガミラスの独裁者であるアベルト・デスラーは、ヤマトにイスカンダル女王スターシャ・イスカンダルが関与していることを確信し、ガミラスの勇将エルク・ドメルを派遣します。
👆『宇宙戦艦ヤマト2199 第四章 銀河辺境の攻防』プロモーション・ビデオ
👆『宇宙戦艦ヤマト2199 第五章 望郷の銀河間空間』LongVerisonプロモビデオ
ヤマトは次元断層でのガミラス人との初の直接対面や、ドメル艦隊との交戦、惑星ビーメラ4での乗組員の反乱、イスカンダルからの最初の使者であったイスカンダル第三皇女ユリーシャの目覚め、航路の中間地点であるバラン星に集結する敵大艦隊の中央突破などを経て、ヤマトは大マゼラン銀河へ到達していきます。ヤマトは大マゼランの入り口である七色星団においてドメルとの決戦に臨み、辛勝を収めるが、戦闘の中で森雪がユリーシャと間違えられて敵に拉致されます。
さらに、ガミラスとイスカンダルが双子星であることが明らかとなる。ガミラス本星での戦いの末、雪はヤマトへと生還し、ガミラスもデスラーの独裁政権が崩壊することになります。
👆『宇宙戦艦ヤマト2199 第六章 到達!大マゼラン』Short Verison プロモ・ビデオ
👆『宇宙戦艦ヤマト2199 第七章 そして艦は行く』 プロモーション・ビデオ
そして、ついにヤマトはイスカンダルへたどり着いたが、スターシャは地球が波動エネルギーを兵器転用していることを理由に、コスモリバースシステムの提供に難色を示します。しかし、ヤマトが波動砲を自身や誰かを守るために用いていたことを周囲から聞かされたスターシャは、徐々に考えを改めていきます。古代はスターシャより、戦死したと思われていた彼の兄・古代守が、捕虜として護送される途中の事故でイスカンダルへ漂着し、重傷を負って彼女にかくまわれていたもののヤマト到着前に死亡してしまったことを知らされます。そして、波動砲の封印と引き換えにコスモリバースシステムはヤマトへ組み込まれ、古代守の思念が、システムの核となる。そしてヤマトは、故郷地球へと旅立ちます。
地球への帰路のさなか、ヤマトはデスラーの襲撃を受け、白兵戦の中で雪が瀕死の重傷を負い、地球を目前にして死んでしまいます。地球への帰還や仲間の結婚を祝う乗組員達に雪の死を伏せて嘆き悲しむ古代の姿に、古代守はコスモリバースシステムを起動させて雪を蘇生させます。その代償として古代守の思念は消滅し、システムは再起動不能に陥る。
しかし、遊星爆弾症候群の悪化により末期へ陥っていた沖田艦長が、目前となった地球の姿に感慨の言葉をつぶやきながら艦長室で息絶えると、システムが「新たな思念」を得て、再起動するのです。
西暦2199年12月8日、ヤマトはついに地球への帰還を果たし、地球が本来の青い姿を取り戻して物語は終了します。
【宇宙戦艦ヤマト2199・感想と考察】
本作『宇宙戦艦ヤマト2199』は、アニメや映画のリメイク作品の中では数少ない成功例と思います。旧作では描ききれなかった部分、描こうとしてなかった部分を描いてくれた秀作です。アニメのリメイク作品はともすれば、作画を含めた美術や設定などに比重が置かれ、淡々とした作風になりがちなのですが、本作は原典では描き切れていなかった部分や地球やガミラスのそれぞれの世界にも視点をあてていてその描写が、素晴らしい。特に本作ではガミラス国家、ガミラス市民からみたガミラスとヤマトの戦いまで描かれていて、地球人、ガミラス人の戦いをとおしてそれぞれの人間臭い部分も巧みに描写されていて、テレビシリーズのメリットを最大限生かした作品と思います。ガミラス国歌やガミラス語まで作るとは、恐れ入りました。おすらく、本作は『宇宙戦艦ヤマト』の新たなファン獲得のためにも製作されたものと推察しますが、中学、高校生と多感な時期をヤマトとともに生きてきたジジ、ババの世代としても喜ばしい限りであります。
★『宇宙戦艦ヤマト2199』は、UーNEXTでも視聴できます。
【宇宙戦艦ヤマト2199・地球防衛軍艦艇】
宇宙戦艦ヤマト
本作の主役戦艦。全長333m。乗組員数999名。識別番号BBY-01。ガミラス側は「テロンの艦(ふね)」とも呼ぶ。
以下は主な変更・追加点。
旧作では戦艦大和を改造した宇宙戦艦であり、サイズも大和と同一であるが、本作では大和に酷似するのは偽装のためとされ、同様の外見ながらサイズは二回りほど大きく設定される。波動エンジンに「次元波動エンジン」、波動砲に「次元波動爆縮放射機」とそれぞれ名称が設定されました。
第一艦橋(メインブリッジ)、第二艦橋 (CIC)、第三艦橋(波動防壁と慣性制御装置の制御、潜水艦行動時のセイルに相当、陸上停泊時の搬入出口)と各艦橋の役割が明確化されています。
旧作では実質一つしかなかった艦載機格納庫が、本作では機種ごとに別々に分けられています。それにともない第三艦橋接続部両舷にあるバルジにも艦載機の格納庫と発進口が追加されています。
艦載機コスモファルコンの格納方法は、旧作の棚から波動エンジンを取り囲む回転棚状に変更されており、運用の容易さから内部は常に無重力を維持していると設定されています。また、艦底後部発進口や発進シークエンスも変更されている。発進口は旧作ではただの蓋であったが、本作では内側にカタパルトが追加され、発進時は艦載機の尾部を先にして押し出すように変わりました。
金剛型宇宙戦艦キリシマ
旧沖田艦。全長205m。識別番号BBS-555。
艦長は山南修で、メ号作戦時は第一艦隊の旗艦として艦隊司令沖田十三宙将が乗艦し、艦隊の指揮を執りました。キリシマを含め計8隻の同型艦が存在したが、2199年1月時点では現存している唯一の金剛型宇宙戦艦となっている。
村雨型宇宙巡洋艦ムラサメ
本作新規設定の宇宙巡洋艦。全長152m。識別番号CAS-707。同型艦が多数存在する。
2191年のガミラスとの遭遇時には島大吾艦長の指揮下で日本艦隊先遣艦を務めたが撃沈され、ガミラス戦役における最初の戦没艦となった。2199年のメ号作戦時に参戦した同型艦も、全て撃沈された。
磯風型突撃宇宙駆逐艦ユキカゼ
旧ゆきかぜ。全長80m。識別番号DDS-117。同型艦が多数存在し、ユキカゼは3番艦。
古代進の兄が搭乗した古代守が艦長を務める艦で、メ号作戦では先遣艦を務める。撤退時に殿を務め爆沈したかに見えたが、土星 近くのエンケラドゥス氷原に墜落した残骸を後に古代進が発見し、後にユキカゼに生存者がなかったことを沖田艦長に言う。メ号作戦時には、参加した地球艦艇の中で唯一、ガミラス艦を撃沈している描写がなされている。これは、その当時開発に成功したばかりで、後にヤマトに搭載される試製空間魚雷が、ユキカゼにのみ搭載されたためと設定がなされている。
零式52型空間艦上戦闘機 コスモゼロ
SID音声 - 森谷里美
ヤマト艦載機。搭載数2機。全長16.9m。
全領域制宙戦闘機。古代は「ゼロ」、沖田は「零式(れいしき)」と呼んでいる。
99式空間戦闘攻撃機 コスモファルコン
SID音声 - 本多真梨子
ヤマト艦載機。搭載数36機[注 18]。全長15.9m。
旧作のブラックタイガーに相当する機体。本来は国連地上軍の防空機で、コスモゼロの開発遅延によってヤマト艦載機に転用されたという設定が追加されている。沖田艦長は「ハヤブサ」と呼んでいます。
空間汎用輸送機SC97 コスモシーガル
ヤマト艦載機。搭載数2機。全長19.5m。
ティルトウィング式のVTOL型多目的輸送機。機体中央部に搭載した着脱式コンテナを換装することで多彩な任務をこなすことができ、劇中では兵員輸送の他にも亜空間ソノブイを搭載した対潜哨戒機としても運用された。略称は「シーガル」。
100式空間偵察機
SID音声 - 本多真梨子、杉浦奈保子
ヤマト艦載機。搭載数2機。全長14.2m。
国連地上軍から転用された偵察機。略称は「100式空偵」で、単に「100式」とも呼ばれる。
空間戦術偵察機SSR-91 コスモスパロー
国連宇宙軍の偵察機。山本明生の生前の搭乗機種で、山本機のコールサインは「ソードスリー」。
陸上兵器・車両
特2式多目的換装車
ヤマト搭載車両。搭載数6両。車体後部に各種装備を換装して運用される。
87式兵員輸送車
第2話でヤマトクルーをヤマトまで移送した車両。元はAPCだが、避難民の長距離移送のため、乗員スペースが窓付きに改造されている。
89式特大型運搬車
第2話でコスモファルコンを運搬した車両。
【宇宙戦艦ヤマト2199・製作スタッフ】
企画:石川光久、河野聡、西崎彰司
原作:西崎義展
総監督・シリーズ構成:出渕裕
チーフディレクター:榎本明広
キャラクターデザイン:結城信輝
ゲストキャラクター・プロップデザイン:山岡信一
メカニカルデザイン:玉盛順一朗、石津泰志、山根公利、出渕裕
セットデザイン:高倉武史、小林誠、渡部隆
ディスプレイデザイン:むらかわみちお、神林中、佐山善則
チーフメカニカルディレクター:西井正典
CGディレクター:今西隆志
コンセプトデザイン協力:宮武一貴
コスチュームデザイン協力:草彅琢仁
デザイン協力:武平慎吾、石垣純哉、きお誠児、福地仁
エンブレムデザイン:永易直樹
エフェクトアドバイザー:橋本敬史
美術監督:前田実
撮影監督:青木隆
編集:小野寺絵美
色彩設計:鈴城るみ子
音響監督:吉田知弘
オリジナルサウンドエフェクト:柏原満(TEO)
音響効果:西村睦弘(フィズサウンドクリエイション)
音楽:宮川彬良、宮川泰
主題歌協力:外村敬一(ソニー・ミュージックエンタテインメント)(テレビ版のみ)
科学考証:半田利弘(鹿児島大学理学部教授)
異星言語制作:Hoffnung
SF考証:鹿野司
取材協力:海上幕僚監部広報室
宣伝協力:佐藤敦紀(テレビ版後期オープニングアニメーションの編集も担当。)、氷川竜介、小林治、小泉聰、倉本真誠、タルカス、ヤマトクルー、インターネットラジオステーション〈音泉〉
宣伝ビジュアル協力:加藤直之
CG制作協力:SUNRISE D.I.D.
プロデューサー:郡司幹雄、藤澤宣彦、松原哲也、松本英晃、有吉篤史、寺西史、前田俊博(テレビ版のみ)
統括プロデューサー:長谷川隆、上山公一、古川寛高、丸山博雄[注 58]
エグゼクティブプロデューサー :長谷川隆一、上山公一、下地志直、横倉源太、稲垣浩文、古川寛高、二宮清隆、吉田健太郎、黒田康太、奥野敏聡、井上俊次、三浦亨(第三章まで。テレビ放送時には、AICとその関係者は第1話からノンクレジットとなっており、「AIC」の社名は各話のアニメーション制作協力プロダクションとしてクレジットされている。)、竹田靑滋(テレビ版のみ)
アニメーション制作:XEBEC、AIC( 第三章まで。テレビ放送時には、AICとその関係者は第1話からノンクレジットとなっており、「AIC」の社名は各話のアニメーション制作協力プロダクションとしてクレジットされている。)
アニメーション制作協力:AIC、マジックバス、スタジオファンタジア、XEBECzwei、ドリームフォース、スタジオガッツ、ボンズ、スタジオパストラル、アスリード
製作:宇宙戦艦ヤマト2199製作委員会(プロダクション I.G、バンダイビジュアル、ジーベック、バンダイ、バンダイナムコゲームス、ボイジャーエンターテインメント、東北新社、松竹、オー・エル・エム、ランティス)、MBS(テレビ版のみ)
【主題歌】
オープニング
👆宇宙戦艦ヤマト 2199 OP
♬「宇宙戦艦ヤマト」(第3話 - 第14話、再放送・第3話 - 第14話、第16話 - )
作詞 - 阿久悠 / 作曲 - 宮川泰 / 編曲 - 須藤賢一 / 監修 - 宮川彬良 / 歌 - Project Yamato 2199、計31組)
👆宇宙戦艦ヤマト2199 ~ YAMATO 2199 TV OP 2 「MY VERSION」 HD
♬「Fight For Liberty」(第16話 - 最終話)
作詞・作曲 - TAKUYA∞ / 編曲 - UVERworld、平出悟 / 歌 - UVERworld(ソニー・ミュージックレコーズ)
ヤマトシリーズTV作品のOPとしては初となる、OPテーマ「宇宙戦艦ヤマト」ではない書き下ろしの完全新曲。
エンディング
👆中島美嘉 『愛詞(あいことば)」MUSIC VIDEO(宇宙戦艦ヤマト2199 エンディングver.)』
♬「愛詞」(第2話 - 第8話)
作詞・作曲 - 中島みゆき / 編曲 - 瀬尾一三 / 歌 - 中島美嘉(ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ)
👆Space Battleship Yamato 2199 - Best of my Love Full
♬「Best of my Love」(第9話 - 第17話)
作詞 - 田中秀典 / 作曲 - 楠野功太郎、玉井健二 / 編曲 - 玉井健二、百田留衣 / 歌 - 安田レイ(SMEレコーズ)
👆JUJU 『Distance -Lyric Video short ver-』
作詞・作曲 - 高木洋一郎 / 編曲 - 坂本昌之 / 歌 - JUJU(ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ)
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