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🔶今日のアニメの徒然小道では、〔名作の秋〕イベントの最終として、1978年にTV放送されていた世界名作劇場シリーズアニメ『ペリーヌ物語』（ペリーヌものがたり）の当時の劇場鑑賞、および配信先動画視聴からの感想・考察（懐想記）を投稿してみました。
【ペリーヌ物語：作品の概要】
『ペリーヌ物語』（ペリーヌものがたり）は、1978年1月から12月までフジテレビ系列で、毎週日曜19:30～20:00（JST）に全53話が放送された、日本アニメーション制作のテレビアニメーションです。「世界名作劇場」の第4作にあたります。本作品は、1978年文化庁こども向けテレビ用優秀映画作品賞を受賞しています。
原作はフランス人作家エクトール・アンリ・マロの『アン・ファミーユ』(En famille、「家族と共に」の意味)です。
邦題は『家なき娘』（いえなきこ、いえなきむすめ）または、『家なき少女』（いえなきしょうじょ）。後年1996年に「世界名作劇場」枠で放送された『家なき子レミ』と対になる物語で、本作品の放送開始から遡ること3か月前にも、日本テレビで『家なき子』（東京ムービー新社制作）が放送されていました[注1]。
放映年の1978年は、元日（1月1日）と大晦日（12月31日）がともに日曜であったため放映があり、1年を通してプロ野球中継や特別番組などによる休止もなく、「世界名作劇場」シリーズの中では全53話と最も話数が多い作品です。
本作の製作スタッフに関するエピソードとして、それまで1年おきに世界名作劇場を手がけ、本作品でも監督として参加が予定されていた高畑勲さんが、本作品のタイトル決定後、原作に否定的な立場を見せて監督を拒否したので、急遽『あらいぐまラスカル』を制作中だった斎藤博さんに監督を依頼することになりました。
さらに高畑さんの監督拒否に伴い、参加を見込んでいた小田部羊一氏、宮崎駿氏らも不参加となり、残った美術監督の井岡雅宏を除いてスタッフの座組みを一から作り直すことになりました※1。
日本アニメーションでは名作劇場の制作にあたって、前年のタイトル決定を受けて物語の舞台となる現場でロケを行ってから実制作に入っていましたが、本作品では恒例の海外ロケを行うことができず※1、その結果同じくフランスが舞台である『家なき子レミ』『レ・ミゼラブル 少女コゼット』といったシリーズの他作品とは異なり、フランスであるはずの風景がドイツのハイデルベルクの風景になっていたり、南欧を除いてヨーロッパには生息していないため聞こえるはずのないセミの鳴き声を夏の場面の効果音として使用してしまった、というミスも残されたようです※1。
※1）池ヶ谷崇志「座談会 ペリーヌ、四方山話」『キャラクターデザイン・ワンダーランド ペリーヌ物語』pp.51-55、関修一、東京書籍、2019年5月10日。
注1）ただし、原作クレジットが「エクトル・マロ」のため、同作品に使用された底本となる日本語訳は確定していません。この原作は、日本では一般的に『家なき娘』または、『家なき少女』という題名で多数紹介されていましたが、抄訳や翻案ばかりで、企画書自体は入手可能な抄訳（城夏子 / 翻案のポプラ社版、水島あやめ / 訳の講談社版など）をベースに書かれていたようです。
そのため、これらの抄訳にある訳者翻案者の創作部分の影響も多く、ロバのパリカールがマスコット扱いで、ペリーヌにテレパシーで生き方をアドバイスするなどの例話が載せられ、ペリーヌ共々かわいいキャラクターデザインも用意されることになりました。最終的に岩波書店に保存されていた岩波文庫版の全訳「家なき娘（アン・ファミーユ）」（津田穣 / 訳）の初版を借り、あらためて構想し直され現在のストーリーになりました。
原作に存在する登場人物の名前も多数の日本語訳を参考に、本作品では独自に訳されています。
【ペリーヌ物語：ストーリー】
19世紀末、ペリーヌ・パンダボアヌと母親のマリはボスニアの小さな村に逗留していました。
共に旅をしていた父親のエドモンがこの地で病に倒れて、命を落としたしまったのです。ペリーヌとマリはエドモンを埋葬して弔いを終えると、ロバのパリカールの牽く馬車に乗り、エドモンの故郷・フランスのマロクールを目指しての旅を再開します。
マリはエドモンの仕事を引き継ぎ、写真師として道中の村や街に立ち寄りながら、仕事をこなして旅費を稼ぎながら、遠い旅を続けていくのです・・・
【ペリーヌ物語：主なキャスト】
〔声の出演〕
- ペリーヌ：鶴ひろみ
- ビルフラン：巌金四郎
- マリ：池田昌子
- マルセル：岡村悦明
- シモン：永井一郎
- ロザリー：黒須薫
- ポール：小山渚
- セザール：石森達幸
- テオドール：田中崇
- セバスチャン：大山豊
- ナレーション：渋沢詩子
👆ペリーヌ物語 第1話「旅立ち」日本アニメーション・シアター
★『ペリーヌ物語』・懐想記
まず、当時、私が高校生の頃の作品ですが、本作タイトル名より、原作のフランス人作家エクトール・アンリ・マロの『アン・ファミーユ』という原作小説名を何となく聞いたことがあると言った方もおられるのではないかなと思います。
クラスメートが、TVアニメの主人公ペリーヌが、あまりの哀しい出来事にみまわれてどうなるのか気になって先回りして原作読んだよ～という人もかなりいたのです。
本作の内容は、両親の死や、正体を名乗れない事情など、つらい境遇にありながら、明るくひたむきに生きる少女に元気をもらえる名作と思います。努力の先には喜びが待っていると信じられる作品。
特にペリーヌの母が自分の命が永くないことを悟り、「ひとりで旅を続けておじい様のところへいくように」と告げる。
当時は高校生だというのに、哀しみの涙なくしてみれませんでした。
哀しいことに見舞われていくが、最後には喜びの涙となる作品なのです。
雨垂れ石を穿つ（あまだれいしをうがつ）、記事の見出しで書きましたが、この古事にあるように小さな努力でも根気よく続けてやれば、最後には喜びが待っている。点滴石を穿つ。要は小さな努力を続けていれば必ず報われる。
現在のアニメ業界ではこうした名作が少なく、昔の子供向けアニメとはいえ、秘めた価値の高い作品としてお勧めです。
45年前のアニメ作品とはいえ、多少ミスはある作品といえど👍👍👍👍👍満点を付けたいと思います。
1978年に文化庁こども向けテレビ用優秀映画作品賞を受賞したクオリティ保証作。
母マリは、ペリーヌに
「ひとりで旅を続けておじい様のところへいくように」
娘の幸せを願って最後の力を振り絞る母の姿に思わず・・・
【ペリーヌ物語：配信先（U-NEXT）視聴】
★『ペリーヌ物語』
（1978年、全53話、見放題）YouTubeの公式配信よりも画質は安定しています
👇下記バナー画像クリックで配信サイトへリンクしています。
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【ペリーヌ物語：製作スタッフ、公開データ】
- 製作：本橋浩一
- 製作管理：高桑充 ※ノンクレジット
- プロデューサー：中島順三・松土隆二
- フジテレビプロデューサー：別所孝治
- 音楽：渡辺岳夫
- キャラクターデザイン：関修一
- レイアウト・場面構成：坂井俊一・森やすじ・桜井美知代・関修一
- 美術設定：千葉秀雄
- 美術監督：井岡雅宏・千葉秀雄
- 背景：スタジオアクア・童工房 他
- 彩色：スタジオロビン
- 撮影監督：黒木敬七
- 撮影：トランス・アーツ
- 編集：瀬山武司・割田枡男
- 現像：東洋現像所（現IMAGICA）
- 録音監督：浦上靖夫
- 効果：石田サウンド（現フィズサウンド）
- 整音：中戸川次男
- 録音スタジオ：アバコスタジオ
- 録音協力：オムニバズプロモーション
- 録音制作：オーディオ・プランニング・ユー(APU)
- 演出助手：楠葉宏三・小園井常久・蔭山康生
- 監督：斎藤博・腰繁男
- 企画：日本アニメーション株式会社
- 制作：日本アニメーション・フジテレビ
- 放送局：フジテレビ系列
- 放送期間：1978年1月1日 - 12月31日
- 話数：全53話
【ペリーヌ物語：主題歌】
👆世界名作劇場 ペリーヌ物語 OP ED
オープニングテーマ
「ペリーヌものがたり」
作詞 - つかさ圭 / 作曲 - 渡辺岳夫 / 編曲 - 松山祐士 / 歌 - 大杉久美子
◆オーケストレーションにフレンチ・ミュゼットとピアノ+ハープ+ヴィブラフォンが使われています。
前者はタニ・スカラ、後者はフロリンド・サッソーネ楽団でよく使用された楽器です。
エンディングテーマ
「きまぐれバロン」
作詞 - つかさ圭 / 作曲 - 渡辺岳夫 / 編曲 - 松山祐士 / 歌 - 大杉久美子
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